肺がんの確定診断、小さな病変まで診断できる気管支鏡検査とは

がんによる死亡者数は、1981年に脳卒中を抜いてからその勢いが止まっていません。理由の1つに肺がんによる死亡者数の増加があります。でも肺がんに対する検査や治療には新しい技術が登場しています。その1つに肺の小さな病変を見つけそれががんであるか診断できる新しい気管支鏡の技術があります。ここではその気管支鏡の検査について、肺がんのスペシャリストである福岡大学病院呼吸器外科教授岩崎昭憲先生に教えていただきます。

 

肺がんかどうか判断するのはCT、転移と病気分類はPET-CT

 

 

一般的に健康診断や咳などの症状から撮った胸部レントゲン写真に異変が見つかった場合、

肺がんの検査として、まずCT※1検査を受けることになります。

 

そのCT検査は、最近では非常に優れた画像構造でいろいろな方向から切った状態で見ることができます。その結果、わかりやすい画像を見ながら肺がんであるか判断できるようになりました。

 

ここで肺がんと判断された場合、次にPET-CT※2検査になります。

 

 

PET-CT検査

 

 

これは肺がんで非常に多いといわれている遠隔転移を調べるための検査であります。

さらにPET-CTでは、肺がんでもっとも大切な病気分類を確認することができます。

 

 

MRI検査

 

 

しかしPET-CTは、脳にできた病変を確認することができないので、かわりにMRI※3を使って検査します。

 

 

主な腫瘍マーカー

 

 

それ以外の補助的な診断として、腫瘍マーカー※4を採血(血液検査)によって調べます。

この腫瘍マーカーでは、採血によってわかった値によりどこに異常が有るか無いかを調べて

肺がんのなかの組織型を推測します。

 

 

※1 CT:CTは、X線を用いて体のなかの状態を輪切りで見えるようにコンピューター処理した画像検査です。

※2 PET-CT:放射能を含んだ薬剤を用いてがんや炎症の箇所、腫瘍の良性や悪性、がんの転移や大きさなどを調べる検査です。

※3 MRI:MRIは、強い磁気と電波を用いて体のなかの状態を断面した画像検査です。

※4 腫瘍マーカ−:がんが進行するとき、がんの種類別に特異的な蛋白が放出されます。それを腫瘍マーカーと呼んでいます。

 

 

小さな病変まで見つけることができる気管支鏡

 

 

CTで肺がんと診断されPET-CTで遠隔転移と病気分類がわかった後、確定診断するためにがん細胞の一部を採取する生検を行います。

このときの検査は、局所麻酔で行う気管支鏡を使います。

気管支鏡検査とは、喉に麻酔をかけてカメラを入れていく検査です。

 

最近の気管支鏡による生検は、以前に見ることができなかった肺の奥にある病変をバーチャル・リアリティ※5を使ったCT画像を立体構造にして、気管支鏡で見える範囲と同じようなレベルで検査します。

 

 

気管支鏡下生検の種類

 

 

要するにCTなどを使い肺のなかの通り道つまり地図みたいなものを作り、どんなに細い末梢でも鉗子を入れて病変を採取して診断できるようになったのです。

これにより、いま肺がんに対する診断の精度はだんだんと上がってきています。

 

さらに気管支鏡も細い枝に入り超音波で病変を見つけて、そこから鉗子を出してがん細胞の組織を取ることができるようになりました。

つまりエコーガイド※6による気管支鏡が発達し、それで診断ができるようになってきました。

 

したがって、むかしと比べると肺がんの小さな病変でも、段々と診断率が上がって来ています。

 

 

※5 バーチャル・リアリティ:バーチャル・リアリティとは、コンピューターを使って人工的な環境を画像として作り出し、あたかもそこにいるかのようにします。

※6 エコーガイド:エコーガイドとは、臓器に超音波をあてることにより得られた情報をもとに画像で病変まで、シミュレーションをしてナビゲーションする方法。

 

 

肺がんの疑いで診断がつかないときは経皮肺生検

 

 

もし気管支鏡で診断がつかなかった場合と、非常に肺がんが疑われているのに診断がつかなかった場合に、肺の表面近くに肺がんがあれば経皮肺生検を行います。

 

 

経皮肺生検イメージ図

 

 

経皮肺生検とは、病変の上から針を刺してがん細胞を針のなかに入れて、陰圧をかけて体外に取り出します。

そして、採取したがん細胞をスライドグラスに吹き付けて、悪性細胞がいるかどうかを診断します。

 

 

早期の肺がんの診断は胸腔鏡検査

 

 

胸腔鏡検査の様子

 

 

いま、ここまでの検査で診断がつかない早期の肺がんが存在します。

このような病変には、胸腔鏡を使い末梢の病変を切り取り、術中に病理の先生に検体を提出し診断してもらいます。

 

つまり術中細胞診・迅速細胞診・迅速病理によって出た結果から、肺がんかどうか判断します。

 

 

※7 術中細胞診:手術の方針が決まっていない状況下で、術中に疑いのある病変を採取し細胞診専門医が診断します。

※8 迅速細胞診:手術中の短い時間のなかで、採取した病態をその場で顕微鏡を使い細胞診専門医が診断します。

※9 迅速病理:手術中の短い時間のなかで、採取した病変が良性か悪性か、またはリンパ節に転移をしていないなどを病理専門医が診断します。