「日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック」は消化器内科の診療を行っている医療機関です。東京メトロ「人形町駅」「小伝馬町駅」から徒歩5分のオフィス街に位置し、多くの働き世代が通っています。院長を務める石岡充彬先生に、診療で大切にしていることについて伺いました。
「内視鏡検査は、患者さんにとってハードルが高い検査のひとつです。そのため、内視鏡検査を受ける輪を広げるには、リアルな口コミが重要だと考えています。検査後も、患者さんが大切なご家族や友人にも紹介していただけるようなクリニックを目指しています。」
クリニックには、口コミをきっかけに初めて内視鏡を受けに来る患者さんも多いそうです。
石岡先生は、開業前にがん研有明病院に勤務されていました。中でも、健診センターでの業務のなかで、毎年同じ患者さんたちが検査を受けていることに気づいたそうです。
「健康意識の高い人だけが繰り返し内視鏡検査を受けて、検査を受けてない人が放置されるのは良い状況ではありません。検査の重要性の意識づけと、ハードルを下げることによって、今まで検査を受けてこなかった新しい層に内視鏡検査を浸透させることが、大腸がんなどの病気を減らすのに非常に重要と考えています。」
先生は、とくに若い世代に内視鏡検査を受けてほしいと強く考えています。
「働き盛りの方は、仕事や家庭を優先するあまり、自身の健康が二の次になりがちで、発見が遅れてしまった事例を多くみてきました。クリニックはオフィス街にあり、多くの働き世代の方が、内視鏡検査を受けていただけるので、とても嬉しく感じています。」
過去に内視鏡を受けた人のなかには、「説明や対応が雑だった」という経験のある方もいるかもしれません。先生は、患者さん一人ひとりに時間をかけて対応することを心がけているそうです。
「当院は予約枠を絞っているほうです。検査件数をこなして、たくさんの患者さんを診ることも大切でしょう。しかし、患者さん一人ひとりの診療を大切にすることで病気に対する知識や検査の重要性への理解が深まり、結果的により多くの患者さんを診ることにつながると考えています。」
医師が患者さんに丁寧に説明すれば、予防医療に対する意識が高まります。検査時期になると、自分から来院されるようになる患者さんも多いそうです。
クリニックは内視鏡に特化しており、特に大腸カメラに力を入れています。しかし、大腸カメラは痛くて苦しそうなイメージがあり、事前に下剤を飲む必要もあります。どのような工夫をされているのでしょうか。
「下剤服用後に自宅のトイレへ行きたい人は、ご自宅で下剤を服用し、クリニックでは検査のみ受けることもできます。大腸カメラが初めての方、下剤の味や量が不安な方は、院内で看護師見守りのもと、下剤を飲んでいただくことが可能です。」
クリニックで下剤を飲む場合、下剤の量や他の下剤に交換など、柔軟に対応してもらえるそうです。さらにクリニックでは、内視鏡による下剤の注入を選ぶことができます。
「胃カメラで胃の中を確認した後、内視鏡を十二指腸に進めて下剤を注入します。目が覚めたらトイレに通うだけなので、下剤を飲む必要はありません。下剤の味も量も気にしなくていいので、患者さんからもとても好評です。」
内視鏡検査をするうえで、医療機器のスペックも重要です。クリニックでは、新しい内視鏡を使った精密な検査を行っています。
「昔のガラケーと今のiPhoneを比べると、画質が全く違うのと同じように、一昔前の内視鏡はそれなりにしか見えません。
私たち医師は、新しい内視鏡が出る度に、これ以上のものは望めないと感じてきました。しかし、さらに進んだ機械が開発され続けているように、驚くような進化を遂げています。」
多くの医療機関では、内視鏡検査前に決まった鎮静剤を一律の量で投与しています。日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックでは、より多くの種類の鎮静剤があり、患者さんごとに種類や量を調節しているそうです。
「レミマゾラムは新しい鎮静剤で、効果時間が短く目覚めが良いので、早く帰りたい患者さんに使用します。レミマゾラムとドルミカムに関しては、ベンゾジアゼピン系の薬であるため、お酒に非常に強い方や日常的に睡眠剤を飲む方には、効きづらくなります。そのため、プロポフォールというお薬を用いたり、併用したりすることがあります。」
プロポフォールは投与直後に眠りに入れるため、過去の検査で眠れなかった方、鎮静剤を使ったけど検査が辛かった方にも適しているそうです。
大腸カメラでは、医師のスキルが不足していると、患者さんが痛がり、最後まで検査ができないことがあります。先生は、どのような配慮をされているのでしょうか。
「上手に内視鏡を入れるのはもちろんですが、見落としがないように注意を払っています。大腸の細かいひだの陰といった見落としやすい部分を把握したうえで、検査を行うが非常に重要です。」
また、大腸の曲がりやカーブの裏など見落としやすい部分は、いくつかのテクニックを使っているそうです。
「反転操作といって、内視鏡を180°に反転させ、裏からも観察します。あとはスコープの先端から処置具を出して、ひだをめくったり、色素散布を行って、ポリープが浮き上がって見えるような方法も使っています。また、内視鏡の画像強調機能も使用しています。」
内視鏡検査で病変を発見するとき、その場で対応できるものもあれば、病院で治療をした方がよいものもあります。紹介する病院の特徴について伺いました。
「普段から顔の見える診療をしたいと考えており、知り合いの信頼できる医師を紹介することが多くなります。」
実際に病院を紹介するときは、病理検査の結果を2週間ほど待ち、確定診断をしてから紹介するのが一般的です。早く治療を開始した方が良いケースでは、臨機応変に内視鏡検査直後に紹介することもあるそうです。
「がんでも早く治療をした方がいいものと、ある程度待っても大丈夫なものがあります。病理検査の結果が出る前でも、内視鏡検査から自信をもって診断できる場合は、すぐに病院を紹介するようにしています。」
内視鏡による大腸がん検診は、40代以上の人であれば、定期的に受けることが薦められていますが、先生は患者さんのリスクに応じた検査間隔を提案しています。
「がんのできやすさは全員一律ではなく、全くできない人もいれば、繰り返しがんになる人もいます。大腸がんになったご家族がいる方、大腸ポリープを繰り返している方は、より頻繁に検査を受けた方がいいと思います。生活習慣について言えば、糖尿病や肥満気味の方、運動不足の方、食物繊維の摂取量が少ない方、飲酒や喫煙をしている方は、大腸がんのリスクが高くなります。最低でも3年に1度は検査を受けていただく必要があると思います。」
先生は患者さんのリスクを考慮せずに、一律に大腸カメラに疑問を思っているそうです。
「皆さんが毎年検査を受ければ、それだけ病気が減ると思っています。しかし、患者さんのメリットにつながるかは疑問を感じます。大腸がんの進行は比較的遅めです。大腸がんのなりやすさを知るためにも、40歳になったら、一度検査受けてください。」
胃カメラは、一昔前までは毎年受けることが推奨されていました。これは日本人のピロリ菌感染率が高かったから。先生は昔の風習を踏襲するだけではなく、現在の状況に合った検査間隔を提案しています。
「胃カメラを受ける頻度は、ピロリ菌に感染しているかどうかによります。ピロリ菌陰性の胃がんは比較的稀です。まずは若いうちに、自分のリスクを知るためにも、一度チェックしてほしいですね。ピロリ菌に感染したことのない人が、毎年カメラ受けるっていうの、非常にナンセンスです。大腸がんなど他のよりリスクの高い病気に気を付けて健康管理をするとよいでしょう。」
最後に、先生からこれから内視鏡検査を受けようと考えている方へのメッセージをいただきました。
「当クリニックでは、患者様のお悩みに一つひとつ寄り添うような工夫をたくさん行っています。内視鏡検査が初めてで不安な方、または内視鏡検査にトラウマがある方にも来ていただければと思います。ぜひ一度ご相談にいらしてください。」