脊柱管狭窄症とは ー 症状・検査・治療について

脊髄の通り道となる脊柱管。この脊柱管の一部が狭くなり、神経や血管を圧迫してしまう疾患を、『脊柱管狭窄症』といいます。脊柱管狭窄症をきたした場合、どのような症状が現れるのでしょうか。また、その検査法や治療法には、どのようなものがあるのでしょうか。 徳島大学病院整形外科教授の西良浩一先生に、脊柱管狭窄症についてうかがいました。

 

脊柱管狭窄症の症状

 

 

脊柱管狭窄症に特徴的な症状で、間欠性跛行というものがあります。

 

 

間欠性跛行イメージ図

 

 

歩き始めてしばらくすると、徐々に足が痛くなってきて、立ち止まり、前かがみでゆっくり休んでいると、痺れと痛みが和らいでいき、立ち上がってまた歩けるようになります。

このような状態を繰り返すことを間欠性跛行といい、脊柱管狭窄症の代表的な症状です。

一度に歩き続けられる時間や距離は、患者さんによって異なります。

 

 

脊柱管狭窄症の検査法

 

 

脊柱管狭窄症の検査は、まず、痛みの少ない非侵襲的な(体に傷をつけない)検査から行います。レントゲンMRIを用いた画像検査を行い、骨が変形している症例においては、CT検査を行う場合もあります。

 

症状の程度や検査結果によって、手術の適応であると判断した場合は、脊髄腔造影検査も行います。

 

 

脊髄腔造影検査イメージ図

 

 

脊髄腔造影検査とは、背中の後ろから針を刺し、脊髄腔内に造影剤を注入する検査です。造影剤を用いることにより、神経根や細い神経などの脊柱管内の様子を詳しく観察し、痛みの発生源がどこであるのかを確認します。

 

 

脊柱管狭窄症のタイプ別の症状

 

 

脊柱管狭窄症は、脊柱管が狭窄して、内部の神経がぎゅっと締まることによって生じる疾患ですが、

・中心型:中心が圧迫され、小さくなってしまうタイプ。

・脊柱管内の、外側に近いところが狭窄するタイプ。

・脊柱管の外側も狭窄するタイプ。

この三つのタイプに分けられます。

 

中心型では全体が狭窄するため、足の裏全体が痺れるなどの、強い症状が出ることが特徴です。外側が狭窄した場合は、神経根の圧迫や、それに応じた部位の痺れや痛み、麻痺などが出現します。

 

 

脊柱管狭窄症の治療法

 

 

神経根ブロック、硬膜外ブロックのイメージ図

 

 

脊柱管狭窄症の痛みを和らげるため、痛みを引き起こす原因となっている神経自体に針を刺し、局所麻酔剤などを注入する神経根ブロックや、硬膜外ブロックなどを行う場合があります。

しかし、歩ける距離が短くなってきたり、馬尾症候群のように足の裏が痺れたり、つま先立ちができなくなったりするなどの症状を呈した場合は、手術を急ぐことが望ましいです。

 

そのような症例においては、従来狭くなっている箇所を広げる手術、いわゆる徐圧術という手術法が選択されます。

神経管の一箇所が狭くなっている場合、通常、背中の真後ろを5cmほど正中切開し、筋肉を切開し、狭窄部の骨を削り、厚くなった靭帯を摘出するという方法が、一般的に行われています。

 

 

局所麻酔による内視鏡治療

 

 

局所麻酔を用いた内視鏡治療でも、狭窄巣を治療することが可能な場合があります。

もっとも外側の部分に狭窄が起こっている場合は、内視鏡治療の良い適応となります。

局所麻酔で、背中の10cmほど外側から徐々に針を進めていき、そこに内視鏡を挿入し、外側の狭窄巣を削ります。

 

脊柱管内の一番外側の部位も、局所麻酔を用いた内視鏡治療が可能です。

外側から内視鏡を挿入し、狭窄部分までドリルを用いて骨を削っていくと、脊柱管の内側狭部の徐圧も可能となります。

内視鏡補助下椎弓切除術(MFL)という手術ですが、実はこの手術は、徳島大学で開発された手術であり、昨年二月から臨床の現場で応用しています。

局所麻酔で行うため、高齢者にも施行でき、麻酔に伴う合併症が起こりにくくなっています。高齢者であっても、手術したその日から歩くことができます。入院期間は、たいていの場合1週間以内で、3~4日で退院する方が多いです。

 

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