子どもの尿路感染症とは?男児と女児、注意するべきはどっち?

育児をしていると、子どもの病気の看病には幾度となく付き合うことになります。その中でも、幼少期に多々見られるのが尿路感染症です。 尿路感染症は子どもから大人まで誰でもなりうる一般的な病気ですが、もしも子どもがなった場合には気をつけるべきことがいくつかあります。 今回は、尿路感染症のメカニズムやそれに伴う好発年齢、尿路感染症の分類とそれについて気をつけるべき小児の疾患などについて、関西医科大学 小児科学講座・教授の金子 一成先生に教えていただきました。

 

尿路感染症のメカニズム:小児では女児に多発、男児も1歳未満には多い

 

 

尿路感染症の場合、ほとんどの場合、肛門から排泄された便の中の大腸菌が外尿道口から入ることで、尿道→膀胱→尿管→腎臓の順に細菌が侵入してくることで起こります。

尿道から腎臓に向かって感染が「上昇」するため、「上行性感染」という言い方をすることもあります。

炎症が強く起こった場所によって、亀頭包皮炎や尿道炎、膀胱炎、尿管炎、腎盂腎炎(腎臓での炎症)と呼び方が変わります。

 

小児の場合の尿路感染症は、オムツをつけている時期に起こりやすいと言われています。

オムツをつけている間は、便が外尿動口に付きやすいためです。

 

また、女児の場合は陰茎がなく、肛門と外尿道口が近いために細菌が入りやすく、男児と比較して10倍近く尿路感染症を起こしやすいと言われています。

ただし、男児であっても、1歳未満で包茎が普通の状態の年齢では、包皮と亀頭の間に垢がたまることで、細菌などが尿道へ侵入しやすくなります。

 

 

尿路感染症の分類:炎症の部位で分類する、小児の上部尿路感染症は要注意

 

 

尿路感染症では、尿路のどの部分で炎症が起こっているのかによって、上部尿路感染症下部尿路感染症に分けることができます。

 

上部尿路感染症としては、腎盂腎炎が代表的です。

腎盂腎炎になると、咳や鼻水などの一般的な風邪の症状が見られないにも関わらず、突然38度5分以上の高熱が生じます。

さらに寒気や悪寒、震え、腰痛、嘔吐・下痢など消化管症状を伴うこともあります。

 

一方、膀胱炎に代表される下部尿路感染症では、尿が黄色くなる、いつもより臭いがする、尿の回数が増える、排尿時の痛みといった症状が見られます。

これらの症状を膀胱刺激症状と言います。

 

上部尿路感染症を起こした小児のうち、3人に1人は「先天性腎尿路異常」を持っていると言われており、これを「複雑性腎尿路感染症」と呼ぶことがあります。

先天性腎尿路異常では、膀胱に溜まった尿が尿管や腎盂に逆流する「膀胱尿管逆流症」や、腎臓で作られた尿が腎盂や尿管に流れにくい「先天性水腎症」といった症状が見られます。

いずれも生まれつき尿の流れに異常がある病気です。

このような病気を持っている小児の場合、上部尿路感染症を繰り返すことが多く、これによって腎臓の働きが低下してしまう恐れがあります。

 

上部尿路感染症の特徴は、「風邪症状を伴わない高熱」を「反復する」ことです。

つまり、下部尿路感染症の場合と異なり、上部尿路感染症になった小児に対しては、腎臓や膀胱の超音波検査、または膀胱に造影剤を注入して尿の流れを見るレントゲン検査を行うことがあります。

 

 

尿路感染症の検査・診断:まずはかかりつけ医で尿検査を

 

 

上で紹介したような、尿路感染症の症状が見られた場合、まずはかかりつけ医を受診して、尿検査を行ってもらいましょう。

これによって、尿の中の細菌の有無や白血球の増加などを確認することができます。

尿検査で、尿中の白血球が増加しており、細菌も確認された場合は、尿路感染症と診断されます。

ここで尿路感染症だと分かった場合には、上部か下部かを診断するために、さらに血液検査を行います。

 

血液検査では、炎症を示すマーカーの1つであるCRP値や血中白血球数を調べ、これらの値が上昇していれば、上部尿路感染症と考えて治療と検査を行います。