冠動脈の狭窄・閉塞によって心筋梗塞を起こした時、それを開通させて治療した後、再狭窄することがあります。
現在の再狭窄率は5%程度で、以前に比べると少なくなっています。
再狭窄が起こった場合は、再度カテーテル治療を実施します。
この時、表面にケロイド反応を抑制する薬を塗り込んである「薬剤溶出性バルーン」と呼ばれるバルーンを用いて、血管の壁に薬を染み込ませます。
心筋梗塞の術後は、合併症がなければ、10日~2週間程度で退院できます。
心不全が長引いた場合は、心不全に対する薬を投与します。
心臓リハビリテーションとは、低下した心肺機能を少しずつ回復させる治療法です。
日常生活がより楽になることを目的として行います。
これは退院後、外来でも実施できます。
心筋梗塞の原因となる動脈硬化は、血管の壁にコレステロールが蓄積していくことで起こる疾患であるため、血中のコレステロール・脂質の管理が重要となります。
食事療法と並行して、薬の服用も行います。
いわゆる「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLを、正常値より厳しい70mg/dL以下に管理していくことが重要です。
急性心筋梗塞の治療で、冠動脈にステント(金網状の管)を留置することがありますが、これは体内では異物であるため、ステントに血小板が付着して血栓を形成してしまいます。
せっかく血栓を除去して開通させた血管に再び血栓ができてしまうのは困るため、抗血小板薬を服用して、血小板によって血栓が形成されるのを防ぎます。
また、動脈硬化は生活習慣病でもあるため、禁煙、バランスの取れた食事を心がけ、飲酒は控えることが大切です。
心筋梗塞をはじめとする、心臓・血管系の病気では、病院に到着する前に亡くなる人も多くいます。
自覚症状なく、突然起こることがあるのが心臓の病気の恐ろしいところでしょう。
いつもと違う強烈な胸の痛みや冷汗などが見られた場合は、できるだけすぐに病院へ行きましょう。
痛いというほどではなく、胸に違和感を感じただけで「休めば元に戻る」という場合は、心筋梗塞の前段階の「狭心症」である可能性があります。
その段階で医師に相談できればベターです。
また、一度狭心症や心筋梗塞を発症した人で、再発を防止することは非常に大事です。
生活習慣の改善、食事療法、運動療法、処方された薬はきちんと飲み、通院を続けることが、一番の再発予防となります。