ICLの概要と合併症:レーシックと比較して有利な点は?

ICL
レーシック
ICL(後房型有水晶体眼内レンズ)は、生体適合性の高いレンズを眼の中に埋め込む視力矯正手術です。視力回復の質が良好で、治療満足度が高いため、強度から中等度近視の治療として普及しつつあります。今回は、ICLの概要や合併症、レーシックとの比較などについて、北里大学・医療衛生部・視覚生理学の神谷 和孝先生に教えていただきました。

 

ICLの概要:眼に柔らかいレンズを埋め込むだけの短時間かつ低侵襲な手術

 

 

ICLの手術は、ソフトコンタクトレンズのような柔らかい素材のレンズ眼の中に埋め込む手術です。

 

実際の手術の流れとしては、目薬で麻酔をした後、角膜の端に作った約3ミリぐらいの小さな穴から眼の中にレンズを挿入します。

レンズを埋め込む場所は、虹彩という目の茶色の部分と水晶体の間です。

 

手術にかかる時間としては、5分から10分ぐらいです。

手術に伴う痛みを訴えられる患者さんはほとんどおられません。

傷口も非常に小さいので、縫合の必要性すらありません。

 

 

ICLの適応・検査:強度近視に加え、最近は中等度近視にも適応

 

 

従来、ICLは強度近視の患者さんが適応とされてきましたが、術後の視力回復の質が良く、患者さんの満足度が非常に高いことから、最近では中等度近視の方にも適応が広がっています。

 

術前検査に関しては以下の3点をチェックします。

①眼科的な検査(眼の中に病気がないかどうか)②視力・屈折の検査(近視・乱視の矯正量を正確に測る)③眼球の大きさなど細かいデータを計測(オーダーレンズの度数・大きさを決める)

 

 

ICLの合併症:白内障、眼圧上昇、眼の感染症に注意

 

 

以前は水晶体の近いところにレンズを固定していたので、水晶体が濁る白内障が起こりやすいとされていました。

しかし、最近のレンズでは白内障の発生が非常に少なくなっています。

 

一時的な眼圧(眼の中の圧力)上昇感染症のリスクには注意を要します。

 

スポーツや眼をこする程度の刺激でレンズが外れることはまずありません。

 

 

レーシックと比較したICLの利点:近視のリバウンドが少なくレンズ交換も容易

 

 

ICL手術はレーシックと比べてリバウンドが非常に起こりにくいと言われています。

 

レーシックではレーザーで削った角膜が復元能力によって元の形状に戻りやすく、近視がリバウンドしてしまうのに対し、ICL手術は優れた光学特性のレンズを目に埋め込むだけなので、そのような角膜の復元が起きず、視力のリバウンドが起こりにくいです。

 

また、ICLレンズは生体適合性が非常に高いため、眼の中に留置して長期間たっても癒着しません。

そのため、たとえレンズの入れ替えが必要になった場合でも、交換が問題なくできます。

 

 

 

「ICLの概要と合併症:レーシックと比較して有利な点は?」に関する記事・動画

レーシックの概要と合併症:適応や信頼できる医療機関の選び方
レーシックとICLの比較:共通点や相違点に関して対比

目の病気の病名から探す

本サイトの利用にあたっては、当社の定める利用規約が適用されます。利用規約はこちらからご確認ください。