味覚障害と生活習慣病の関連性

「食べ物を味わう」ということは、人生の中での楽しみのうちの一つと言えます。 しかし、それが難しくなる障害があります。 それが「味覚障害」です。 味覚障害を引き起こすには様々な原因があります。 今回はこの味覚障害について、山陰労災病院 循環器内科 水田 栄之助先生にお話を伺いました。

 

味覚障害と栄養素との関係について

 

 

味覚を感じる味蕾細胞というのは、非常に新陳代謝が激しい細胞です。

約10. 5日で新しいものに入れ替わるというふうに言われています。

 

入れ替わるときには細胞分裂をするのですが、その時にどうしても亜鉛が必要になってきます。

なので亜鉛が不足すると、うまくその味蕾細胞が新しいものに入れ替わらないので、その結果、味覚障害をきたすというふうに言われています。

 

その他、亜鉛だけでなく、ご高齢の方が飲んでいる薬降圧薬や、心不全の患者さんが必ず飲んでいるという利尿剤コレステロールを下げる薬などが、亜鉛をおしっこにそのまま出してしまう作用があると言われていて、薬剤性味覚障害というのも非常に多く存在します。

さらに言うと、例えば口の中に差し歯金属の歯があると、その金属から微小な電流が出て味覚障害をきたす、というふうに言われています。

 

また、ビタミン不足貧血も味覚障害の重要な因子となっています。

貧血だったら鉄分とか、そういったものも味覚障害には大事というふうに言われています。

 

なので、バランスよく食事をするということが、味覚を維持するということに繋がると思います。

 

 

味覚障害と心血管疾患との関係性

 

 

味覚というのは「五大基本味」といって、塩味、甘味、酸味、苦味、そして旨味、この五つあります。

その五つの味覚感度検査を患者さんにすると、塩味と旨味、この二つが生活習慣病・心血管病等に関係しているのではないかということがわかってきました。

 

特に塩味については、感度が低下すると気づかないうちに塩をたくさんかけたりしてしまいます。

その結果、食塩摂取量が増えてしまいます。

なので、塩味感度が低下すると、食塩摂取量が増えて、心臓病・腎臓病になりやすいということがわかりました 。

 

あとは旨味ですが、旨味の感度が低下すると、甘党になり太りやすいということもわかっています。

 

このメカニズムについてですが、人間はどんな味で満足するかということを理解することが大事です。

 

いろんな研究結果を見ると、甘いもの、脂っこいもの、そして旨み、この三つで人間というのは、美味しかったと満足するようです。

旨み感度が低下すると、旨味で満足するということができなくなるので、どうしても甘いものと脂っこいものを食べてそれで満足する習慣がついてしまいます。

そうすると、甘くて脂っこいものは、非常にカロリーが高いので肥満になる。

そういうメカニズムなのではないかと我々は考えています。

 

 

 

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