下肢静脈瘤ってどんな病気?急いで治療しなくてもいいって本当?

下肢静脈瘤ってどんな病気?急いで治療しなくてもいいって本当?

 

下肢静脈瘤は足の血管に瘤ができる病気

 

 

下肢静脈瘤は、足の静脈がコブのように膨らんでしまう病気です。

静脈という血管は、全身から心臓に戻る血液の通り道になる血管ですが、血液が逆流しないように弁がついています。下肢静脈瘤ではこの弁が壊れてしまうことで血液が逆流し、血液の圧力で血管が変形して蛇行したりコブができたりしてしまいます。

足の血管の病気というと、「エコノミークラス症候群」や「深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)」のように、血の塊ができて命に関わる病気のようなイメージがありますが、下肢静脈瘤は命に関わるような病気ではありません。

また、このコブが破裂したり将来的に足を切断したりしなければならないという状況に陥ることもありません。

 

 

下肢静脈瘤で特に問題になるのは足のむくみと皮膚の潰瘍、そして見た目の悪さ

 

 

下肢静脈瘤では血液が逆流してしまうため、足のだるさやむくみを感じるようになります。

重症になるとこの症状は長い期間続き、患者さんのQOL(生活の質)が悪くなってしまいます。

また、皮膚に十分な血液が送られなくなり、皮膚に炎症が起きたり潰瘍(かいよう)という穴が開いたような状態になったりしまうこともあります。

さらに下肢静脈瘤では血管が皮膚から浮き出て見える状態になるので、見た目の変化も大きな問題です。ボコボコと蛇行した太い血管や網目・蜘蛛の巣のような細かい血管の集まりが浮いて見えるのでその見た目が「気持ち悪い」と感じる患者さんもいます。

他に足がつる、ほてる、むずむずするなどの症状を感じる人もいます。

 

 

下肢静脈瘤の患者さんは10人に1人とも。特に女性が発症しやすい

 

 

下肢静脈瘤の患者数は1000万人以上、約10人に1人といわれています。

発症のリスクになるのは遺伝、出産、立ち仕事です。

両親とも下肢静脈瘤がある場合は、その子供も90%発症するといわれています。

妊娠時にはホルモンの影響で下肢静脈瘤が発症しやすくなり、出産経験のある女性の約半数で下肢静脈瘤を発症するというデータもあります。

立ち仕事の中でも歩きまわるのではなく立ちっぱなしの人は血液が足にたまりやすくなり、特に10時間以上たちっぱなしの人は重症化しやすいです。

 

 

タイプによって4つに分類:手術が必要なのは1種類だけ

 

 

下肢静脈瘤は見た目によって次の4つに分類されます。

 

・伏在型(ふくざいがた):静脈の太さ4mm以上

・側枝型(そくしがた)静脈の太さ3~4mm

・網目状:静脈の太さ1~2mm

・くもの巣状:静脈の太さ1mm以下

 

伏在型はむくみなどの症状があり、手術による治療が必要となりますが、他のタイプでは軽症で積極的に手術が必要というわけではありません。

 

伏在型の治療で行われる手術は、次のようなものがあります。

 

・高位結索術:血管をしばる

・ストリッピング手術:血管を引き抜く

・血管内治療:血管の中から高周波やレーザーを当てて焼く

 

血管内治療は患者さんへの負担が少なく、医師の判断によっては日帰り手術も可能です。

そのため、最近は血管内治療を行う医療機関が増えてきています。

近年下肢静脈瘤へのレーザー治療が保険適用となって注目されていますが、この治療は伏在型の治療には保険が適用されますが、他のタイプの下肢静脈瘤には保険適用されないため注意が必要です。

 

手術以外の治療は次のようなものがあり、これらの治療は伏在型以外の下肢静脈瘤や伏在型の手術と組み合わせても有効な治療です。

 

・生活習慣の改善:足を積極的に動かしたりマッサージしたりして血液が心臓に戻るのを助ける

・弾性ストッキングの使用:足に適度な圧をかけて血液が心臓に戻るのをサポートする(下肢静脈瘤の治療では保険適用外)

・硬化療法:静脈に薬を注入して血管を固めてしまう

 

 

受診は実績のある血管外科、近くにない場合はまずは外科へ

 

 

下肢静脈瘤は命に関わるような病気ではないため、急いで治療を受ける必要はありません。

治療が必要になるのは皮膚の炎症や症状のつらさ、見た目が気になるという場合です。

最近は美容目的で治療を受ける患者さんも多いですが、医療機関によっては保険適用にならないレーザーを使用していたり、治療実績が少ないために患者さんとのトラブルになったりということも増えています。

治療を受ける場合は実績のある医療機関を調べて受診するのがおすすめです。

理想的には血管外科のある医療機関ですが、近くにない場合は外科でも対応してくれる場合があります。

治療を受ける場合も医師と十分に相談し、納得してから治療を受けるようにしてくださいね。

 

 

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光嶋 勲 先生

広島大学病院