特徴的なのは片足が腫れて痛み、肌の色の変化が起こることです。
安静時であっても痛みますが、歩いた時に特に痛みが強くなります。
全く症状のない深部静脈血栓症もあるため、その場合は診断が難しくなります。
何らかの原因で、血液が「凝固亢進」という状態になると、血が固まりやすくなり、血管の内側に張っている内皮細胞が傷害されることで、血栓ができやすくなります。
深部静脈血栓症のリスク因子としては、脱水や、ホルモン剤、がんに対する化学療法などが挙げられます。
また、抗がん剤を使っている患者さんも深部静脈血栓症のハイリスクとなります。
さらに、肥満や安静臥床、飛行機の中でずっと同じ姿勢で座っていることで起こるいわゆる「エコノミークラス症候群」もリスク因子です。
飛行機以外の物でも、新幹線や夜行バスなどで、足を下げたような状態で椅子に長時間腰掛けている状態も良くありません。
歩くことで足の筋肉のポンプが働き、静脈の血液の淀みを取ってくれています。
じっと座っていたり寝ていたりすると血液の流れが悪くなって血管が詰まりやすくなるのです。
深部静脈血栓症の検査では、検査前臨床確率などを評価することが推奨されています。
それに加えて、血液検査で「D-ダイマー」と言う検査項目の数値を評価することも検査方法の1つです。
体の中に血栓ができると、血栓を溶かそうとする力が体の中で働きます。
それによってできた分解産物がD-ダイマーです。
D-ダイマーの数値が正常であれば、体の中に血栓ができないためその段階で深部静脈血栓症は除外されます。
血栓が実際にあるかどうかを診断する検査方法で、1番中心になっているのは、静脈の超音波検査です。
非常に簡便で短時間でできるため、深部静脈血栓症の診断の中心になっています。
腹部にまで血栓が及んでいる可能性のある方には、造影CTと言う造影剤を使ったCT検査を行うこともあります。
深部静脈血栓症の場合、手術で血栓を取り除かなくてはならないほどの重症になっている患者さんはかなり少ないと言われています。
そのため、深部静脈血栓症の治療は、薬物治療が中心であり、抗凝固療法と呼ばれる、血液の凝固の活性化を抑制してくれる薬を用います。
以前は、静脈血管の中に直接投与するか、飲み薬であっても使いづらい薬しかなかったため、採血を頻回にしながら患者さんに合った投与量を決めていました。
最近になって、経口抗凝固薬(DOAC)と言う新しい薬剤が出てきました。
採血しながら用量を調節しなくても良いため、飲んだらすぐ効く即効性を有しています。
腎機能が著しく低下している人や妊娠されている方以外は、DOACが治療の中心となります。
症状が強い方や抗凝固療法で反応性が乏しい患者さんでは、カテーテルで治療します。