カテーテル血栓溶解療法(CDT)とは?その方法とメリット

カテーテル治療
深部静脈血栓症の治療は、薬物治療が中心ですが、症状の強い人や、薬物の投与ができない患者さんに対しては、カテーテルによる血栓溶解療法が行われています。 今回は、深部静脈血栓症のカテーテル血栓溶解療法(CDT)の具体的な内容と、そのメリットなどについて、桑名市総合医療センターの山田 典一先生に教えていただきました。

 

カテーテル血栓溶解療法(CDT)とは

 

 

深部静脈血栓症の中でも、血栓量が非常に多い症例や、症状の強い症例では、できた血栓を積極的に溶かす「血栓溶解療法」という治療法が適用されます。

これは、静脈の中に投与するタイプのお薬です。

この薬を用いた血栓溶解療法では、出血の合併症を起こすリスクが高まります。

特に、深部静脈血栓症では、静脈に血栓が詰まって完全に閉塞してしまっている患者さんが多くいらっしゃいます。

このため、静脈から点滴で血栓溶解療法を行っても、血管が詰まっているため、薬が到達しにくい場合があります。

 

 

早期血栓溶解除去の意義

 

 

このようなケースでは、薬を投与しても、出血の可能性だけが増して、血栓を溶解する効果は低減します。

このような場合には、カテーテルを使った治療法を行います。

 

 

カテーテル血栓溶解療法のイメージ図

 

 

2種類の方法があり、

①カテーテルを血管に差し込んで、詰まっている血栓を吸い込んで取り出す

②血管の中にカテーテルを留置してそこに血栓溶解薬を吹き付ける

という方法があります。

 

②では、超音波エコーで見ながら、動脈を傷つけない程度に、静脈だけを穿刺してカテーテルを留置します。

静脈には一方通行に血液が流れるようにするために、弁が付いています。

血栓ができることによって炎症が起こり、この一方通行弁が完全に潰れてしまい、逆流防止弁の機能を果たさなくなります。

血栓が解けた後も、足が腫れて痛み浮腫が起きる後遺症が残ってしまいます。

できるだけ早く血栓を溶かすことによって静脈の一方通行弁が壊れないようにするのも、治療の目的の1つです。

 

 

カテーテル治療のその先:下大静脈フィルターとシース留置

 

 

大量の血栓が一時に肺動脈に詰まると、心臓から血液が送れなくなるため、突然死やショック状態、血圧が下がるなど、重篤な合併症起こしてくる危険性があります。

これを防ぐためには、足から血の塊が剥がれて流れていたとしても、腹部に網を張ってあげることで、心臓や肺に流れないようにする「下大静脈フィルター」と言う治療法があります。

 

また、足の裏からカテーテルを穿刺した際に、筒(シース)を留置することで、そこから造影剤を流すことができます。

これを用いて血栓がどの程度溶けているかを確認することができます。

血栓が溶けて静脈の血流が改善した時にカテーテルを全て抜去します。

その後、抗凝固薬は継続して投与します。

 

 

カテーテル治療の効果:症状が出たらすぐに受診を

 

 

CDT治療効果に与える因子の検討

 

 

できたてからまだ時間が経っていない、新しい血栓の方が、カテーテル治療の効果が高いと言われています。

「足が腫れて痛む」という症状が出てから2週間以内の状態最も良い適用になります。

 

例えば、腹部の腸骨静脈から大腿静脈にかけて血栓が及んでいるような、比較的太い静脈に大量の血栓が存在する症状の強い症例などです。

ただし、血栓溶解療法局所に受け付ける治療法ですが、全身にも作用するため、手術直後や脳出血など、活動性の出血がある方には向かない治療です。

 

 

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