下肢静脈瘤の治療法:ストッキングで治療?手術の種類も紹介

高周波血管内焼灼法
ストリッピング手術
弾性ストッキング
下肢静脈瘤では、下肢の静脈の弁が逆流するなどして、皮膚表面にボコボコと浮き出てくるような症状が現れてきます。痛みや皮膚に潰瘍ができたりすることもあり、人によっては生活しづらくなることもあります。 今回は、下肢静脈瘤の治療法について、基本的な生活における改善法から具体的な外科的治療まで、横浜南共済病院 院長補佐の孟 真先生に教えていただきました。

 

下肢静脈瘤の治療法:基本はQOLの改善、症状が辛ければ外科手術など

 

 

下肢静脈瘤の治療の基本は、生活の質を改善することです。

患者さん自身が快適に生活できる様になる治療法を選択するのが原則となります。

 

長時間、足がだるくなる・重くなる様な立位姿勢を禁止する、足を上げた姿勢で下肢の下垂を避けることなどが挙げられます。

また、適度な運動をして適正体重まで減量することも大切です。

 

次に試される治療法としては、弾性ストッキングを用いた圧迫療法があります。

皮膚に潰瘍(えぐれ)がある場合は包帯を巻いて圧迫します。

 

圧迫療法

 

また、非常に小さい静脈瘤の場合は、硬化療法という方法が用いられることがあります。

これは注射で静脈瘤を潰す方法です。

 

他にも、血管内焼灼術と呼ばれる手術も盛んに行われています。

これは、逆流している伏在静脈(下肢を流れる大きな静脈)をカテーテルで焼いて閉塞させる方法です。

 

手術治療は、基本的に皮膚病変があったりして症状が辛い人や、症状は軽いが見た目が気になる人などに適応されます。

 

 

 

下肢静脈瘤の外科的治療:血管内焼灼術のメリットとデメリットは?

 

 

下肢静脈瘤の外科的治療の中でも、血管内焼灼術は盛んに行われている治療法です。

カテーテルを伏在静脈の中に注射で挿入に、レーザーで患部を焼くという治療法で、2011年に承認されました。

 

最近ではさらに新しい機械が出てきて、レーザーの性能も変わってきています。

具体的には、カテーテルの先端を120℃くらいに熱して血管を焼きます。

血管を焼灼することで閉塞させ、静脈の逆流を抑制します。

 

レーザーによる下肢静脈瘤血管内焼灼法

 

高周波血管内焼灼法 RFA(ClosureFast)

 

レーザー治療と高周波治療では、適応症例にそれほど違いはありません。

ただし、旧式のレーザーで治療すると術後の疼痛が多いと言われています。

治療効果自体は変わりません。

治療を選択する際には、機械そのものよりも手術症例の選び方や手術方法がより重要視するべきポイントとなります。

 

血管内焼灼術の場合、侵襲は少ないですが、合併症が全くないわけではありません。

出血や、外傷による感染症や神経の損傷による痺れ・痛みなどが挙げられます。

また、非常に稀なケースですが、深い静脈部分に血栓ができることでいわゆる「エコノミークラス症候群」を起こしてしまうことがあります。

 

術後の再発については、早期の場合には少なく、術後ある程度の時間が経過してから若干数起こることがあります。

軽症例が多いため、大きな心配をする必要はありません。

 

さらに別の外科的治療法としては、ストリッピング手術という方法があります。

これは、悪い血管を抜き取ってしまう方法です。

以前は、血管に軸の様な物を挿入して引っ張り出すことで悪くなった血管を切除する、という方法が行われていました。

現在では、このような手術方法でしか治療が出来ないという症例は少ないですが、稀にあります。

 

軽症の静脈瘤の場合は、泡状硬化剤を直接注射する、という治療法があります。

この治療は外来で15分程度で終了でき、残った静脈瘤やクモの巣状静脈瘤もこの方法で治療することができます。

ただしこの方法は、重症例に使用すると、再発が多いという問題があります。

そのため、重症例は血管内焼灼術あるいはストリッピング手術で行われることが多い様です。

 

下肢静脈瘤ストリッピング手術を行なった巨大静脈性潰瘍

 

 

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