夜尿症の治療では、初診時に治療期間について質問をされる患者さんが多くいますが、治療期間は人それぞれです。
適切な治療方法が決まれば、半年程度で夜尿を止めることは出来ると考えられています。
ただしこれは、薬の服用やアラーム治療(下着にセンサーをつけて失禁を感知したらブザーで知らせる方法)を続けながら改善しているという状況です。
夜尿症が良くなったからといってそこで治療をストップしてしまうと、再発することがあります。
薬物療法であれば服用する量を少しずつ減らしていき、アラーム治療であれば、少しずつアラームの鳴る条件を厳しくしていくことが大切です。
夜遅くに飲食したり、就寝前にトイレに行くのを忘れて寝てしまっても、寝ている間に自分で尿意に気づいて覚醒しトイレに行って排尿できる状態をゴールと考えると、ここに到達するまでに平均して1年半程度はかかると考えられます。
治療期間の間、特に低年齢の患者さんでは、治療へのモチベーションを落とさないように保護者がリードしてあげる必要があります。
夜尿症の治療において医師は、治療経過を見ながらアドバイスをする役割を担っています。
夜の水分摂取制限や、就寝前にトイレに行くことなどの基本的なアドバイスは、5歳になっても夜尿が止まっていない場合、提案して良いと考えられています。
抗利尿ホルモンなどを用いた積極的な薬物治療やアラーム治療の導入については、小学生に上がっても夜尿が続いている場合に適応となります。
また、夜尿症の患者さんのうち4人に1人は、昼間も失禁が見受けられます。
昼間の尿失禁が治らなければ、夜尿症の改善は難しいと思われるため、5~6歳にかけて昼間の尿失禁が見られる場合は、そちらを優先して治療します。
このケースでは、薬物治療を行うこともあります。
夜尿症の治療において、現在では薬物治療に用いる薬剤も良いものが出てきています。
また、最近7~8年の間に、夜尿症の診療に取り組む小児科医も増加してきたと言えます。
そのため、夜尿症が気になり出したらまずは、専門性に拘らずに、かかりつけの小児科医に相談してみるのが良いと思われます。
昼間の尿失禁を伴う夜尿症の場合や、薬物治療が上手くいかないケースでは、泌尿器科の医師に協力してもらう必要がある場合もあります。
小児専門の泌尿器科医は全国どこでもいるわけではないですが、近医にいれば治療の助けになることでしょう。
また、アラーム治療に慣れている医師は多くはありません。
薬物治療が上手くいかずにアラーム治療を検討する時には、かかりつけ医として、夜尿症を専門とする小児科医、あるいは小児泌尿器科医を探してもらうのも1つの方法です。