尿路結石症ってどんな病気?なりやすい人は?症状や検査法も

尿路結石症とは、その名の通り「尿の通り道に石ができる病気」です。生活習慣病などと関連してその罹患率は年々上昇傾向にあります。今回は、尿路結石症の概念や罹患率、症状、検査法などについて、大口東総合病院 泌尿器科の松崎 純一先生に教えていただきました。

 

尿路結石症について:尿の流れる通り道に「石」ができる

 

 

尿路は、尿を作る腎臓、そこから膀胱へと繋がる尿管と呼ばれる細い管、そして膀胱、尿道のことを指します。

腎臓で出来た尿は最終的に膀胱に溜められてから尿道を介して体外に排出されますが、この尿路の中に結石ができてしまう病気尿路結石症と呼びます。

 

尿路結石症とは

 

 

尿路結石症の罹患率:頻度は高い!誰でもなる可能性が

 

 

尿路結石症に罹患する頻度は実は非常に高く、男女で平均すると10人に1人程度と言われています。

また、男性と女性を比較すると、男性の方が、2~2.5倍罹患しやすいことが分かっており、男性の場合は7人に1人、女性の場合は15人に1人が一生に一度は尿路結石症に罹患すると言われています。

したがって、決して珍しい病気では無く、多くの人がかかる可能性のある病気と理解するのが良いでしょう。

 

尿路結石症の年間罹患率

 

 

1965年から10年ごとのデータを参照すると、年々罹患率は高くなっています。

この原因の一つとして、脂肪分や糖分を多く含む欧米型のハイカロリーな食事を摂取するようになったことが挙げられます。

 

尿路結石症の罹患率の推移

 

 

尿路結石症の症状:腰の激痛が特徴的。真っ赤な血尿にも要注意

 

 

尿路結石症の最も分かりやすい症状は痛みです。

腎臓や尿管は左右に1セットずつあるので、結石が形成された片側の腰の痛みが一番多い症状と言われています。

 

痛みが無くても真っ赤な血尿が出る時は結石が原因である場合があります。

 

また、高齢者の場合は、発熱を伴って結石が見つかることもあります。

 

尿路結石症による症状

 

 

尿路結石症の検査:基本は尿検査。レントゲンやエコーも容易にできる

 

 

尿路結石症が疑われる時、まず基本的には尿検査を行います。

ほとんどの尿路結石症の場合、「尿潜血反応」といって尿の中に血液が混じっているという結果が出ます。

つまり、尿潜血反応が陽性であれば、尿路結石症の可能性が高いと言えます。

 

次に行われる検査として腹部レントゲン検査があります。

日本では多くの病院にレントゲン設備があり、簡単に実施できるため、よく行われます。

尿路結石症の8割以上で、レントゲンに結石が写るため、診断は比較的容易です。

 

3つ目の検査方法として、超音波(エコー)検査があります。

これは検査できる部位が限られており、腎臓または膀胱周囲にできた結石でなければ診断が難しいとされています。

 

また、最も正確な検査はCTスキャンです。

結石の大きさや場所がハッキリと分かり、治療の方針を立てることが出来ます。

Dual Energy CTと呼ばれるCTスキャンでは、薬の投与によって溶けるタイプの尿酸結石なのかどうかを診断することが可能です。

患者さんにとってはとても有用な検査方法と言えるでしょう。

CTスキャンを用いた検査は、尿路結石症の専門病院であれば実施可能です。

 

 

結石のタイプ:治療前に結石タイプを判別するのは不可能!

 

 

尿路結石症で形成される結石にはいくつかのタイプがあります。

治療前に結石の種類を判別するのは、Dual Energy CTで尿酸結石を判別する以外は不可能とされています。

9割以上のケースが薬の投与で結石が溶けないタイプなので、積極的治療を行うことが非常に多くなります。

 

ただし、CTスキャンを行うと、結石の硬さを知ることができるので、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)の成功率を予測することは可能です。

 

 

 

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