尿路結石症の内科的治療法では、まず結石を排出しやすくするための薬を用います。
大きさが4mm以下であれば、80~90%のケースで自力で排出することが出来ます。
4mmを少し超える大きさの結石であっても自力排出できる可能性はあるので、薬を用いることで排出を補助します。
尿路結石症のガイドラインでは、前立腺肥大症の治療薬を用いると、結石の排出率が向上するという報告が挙げられており、実際に治療法の一つとして採用することがあります。
一方、溶解療法は薬を用いて結石を溶かす方法で、この治療法の対象となるのは尿酸結石とシスチン結石の2種類です。
これらの結石は非常に稀で、尿路結石症患者のうち数%しか罹患しません。
この結石に該当するのかどうかは、Dual Energy CTで術前に診断することができます。
内科的治療以外の尿路結石症に対する治療法の一つに、体外衝撃波を用いた治療法(ESWL)があります。
これはESWLと呼ばれ、身体の外から結石だけを砕いて排出しやすくする手法です。
身体的負担が少なく、日帰りもしくは1泊2日の入院で治療が可能となっています。
実際にこの治療法が適応されるのは、1cm以下の結石の場合とガイドラインで定められています。
したがって、あまりに大すぎる結石の治療には適していません。
またもう一つのデメリットとしては、成功率が少し低いという点が挙げられます。
1cm以下の結石で成功率は80%前後と言われています。
体外衝撃破を当てても結石がすぐに砕けて無くなってしまうわけではなく、時間をかけてゆっくり排出されます。
そのため、治療の評価は基本的に施術の3ヶ月後に行うと決まっています。
つまり、治療の成果が見られるまでに時間がかかるということを留意しておく必要があります。
さらに、結石を砕いても痛みが絶対に起こらないわけではなく、砕けた小さい結石が痛みの原因になることがあります。
尿路結石症の内視鏡治療の一つに、経尿道的尿管結石破砕術(TUL)があります。
これは、尿道からカメラとレーザーを挿入し、その場で破砕・摘出を行うという治療法です。
TULは身体への侵襲がほぼ無く、負担が少ない治療法であり、成功率が高いというメリットがあります。
その場で結石を摘出するため、内科的治療やESWLのように一定期間結石の排出まで待つ必要もありません。
デメリットとしては、全身麻酔が必要であるため入院期間はESWLよりも長く(5日~1週間程度)なること、対象となる結石の大きさは直径1.5cmが限度であることなどが挙げられます。
経皮的腎尿管結石破砕術(PNL)では、腋腹に数mmの穴を開けて、直接腎臓に内視鏡を入れて結石を砕き、摘出する治療法です。
尿道からの内視鏡挿入と比較すると、身体への侵襲が大きいですが、メリットは大きな結石を摘出できるという点です。
尿路結石症のガイドラインでは、2cm以上の結石はPNLが治療法が第一選択となります。
皮膚を切開するため、術後に痛みが出たり、腎臓に穴を開けることで出血を伴う可能性が高いことはデメリットとして挙げられます。
従来は1cm程度の切開創が必要でしたが、現在は5mm程度の小さい穴を開けるだけで治療が可能です。
最新の治療法として、尿道から行うTULと経皮的に行うPNLを同時に行う術式があります。
これを経皮・経尿道同時内視鏡手術(ECIRS)と呼び、2020年4月から保険適用となって、有効な治療法として認められています。
ECIRSはPNLを行う症例全てに適用可能なので、2cm以上の結石の場合は、尿道からの治療と経皮的な治療を同時に行うことで、手術時間の短縮と摘出成功率の上昇が見込めます。
結果的に患者さんの負担も少なくなるので、この治療法を選ぶケースが増えています。