TEESの展望・よりよい耳科手術のための取り組みとは?

耳科手術にブレイクスルーをもたらした内視鏡手術。その術式の一つである、TEES(経外耳道的内視鏡下耳科手術)は、多くの疾患で適用されており、メリットの多い治療法法として、実施する医療機関は着実に増えています。今回は、TEESの今後の展望などについて、山形大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・教授の欠畑 誠治先生に教えていただきました。

 

TEESの今後の展望:世界中どこでも、誰でも行える手術へ

 

 

山形大学医学部附属病院での手術実施件数は非常に多いですが、手術日が限られている関係もあり、手術を待っている人が非常に多くいます。

現在は、半年程度の待機期間が生じている状況です。

山形大学へは全国からTEESでの治療を希望する患者が集まっており、非常にニーズの高い手術であると言えるでしょう。

 

一部の医師だけがTEESを行えても世界中の人のためにはなりません。

山形大学では、自分たちの持っている技術をオープンにして、他の病院・施設でもTEESを実施できるような取り組みを行っています。

こうすることで他の施設からのフィードバックを得ることができ、さらなる技術の発展に寄与しています。

 

毎年山形大学で開催されているハンズオンセミナーでは、「山形モデル」と呼ばれる3Dプリンターで作った非常に精緻な耳のモデルを使った実習や、実際の手術の見学などを通じて、医療技術の向上を図っています。

セミナーには、日本だけでなくアジア各地から医師が訪れ、TEESの裾野を広げています。

 

ハンズオンセミナーでの様子

 

 

TEESを安全確実に行うためには、きちんとしたステップを踏まなければなりません。

逆に言うと、きちんとしたステップを踏むことで誰でも行える手術である、というのが術式を広める上での目標となります。

つまり、同じ技術を日本中・世界中どこでも利用可能にすることが、社会への貢献となるのです。

 

 

患者さんへのメッセージ:低侵襲な内視鏡手術を治療選択に

 

 

顕微鏡を用いて行う手術と、耳の穴から内視鏡を挿入して行う低侵襲な手術が、同等もしくはそれ以上の結果であるならば、より低侵襲な手術のほうが患者さんにとってメリットが大きいと考えられます。

 

内視鏡手術にも、もちろん限界はあります。

2Dであること、内視鏡を片手にもって鉗子を用いて手術を行うため、狭い中での片手操作になること、などが具体的な課題点として挙げられます。

このような課題を解決するためには、手術に適した器具の開発が不可欠です。

 

これに取り組んでいるのが「IWGEES; International Working Group on Endoscopic Ear Surgery」と呼ばれるグループです。

ここでは、多くのメンバーが切磋琢磨して、様々な手術方法を開発しています。

 

IWGEES(International Working Group on Endoscopic Ear Surgery)

 

内視鏡治療自体はまだまだ発展途上ですが、現時点で顕微鏡と同等の水準には達していると考えられます。

さらにそれ以上の治療効果がある術式を開発するのが、医療の役目です。

 

日本耳科学会の調べによると、6年前までは耳科手術を実施している施設のうち10%程度でしか内視鏡手術は行われていませんでした。

しかし、2年前の調査では実施率は50%を超えており内視鏡手術のトレーニングを受けた医師が日本中に広がっていることが分かります。

耳科疾患の治療を受ける際には、ぜひ内視鏡手術も選択肢の一つとして考えていただければ良いと思います。

 

 

 

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