マイコプラズマ肺炎とは?流行・症状・検査の特徴について

マイコプラズマ肺炎は、気道に強い炎症を起こす呼吸器感染症であり、4年周期に大流行を起こしています。従来の抗体検査では診断までに時間を要していましたが、抗原検査などの進歩により迅速な診断が可能となりました。今回は、マイコプラズマ肺炎の流行、症状や検査について、関西医科大学 内科学第一講座 呼吸器感染症・アレルギー科の宮下 修行先生に教えていただきました。

 

マイコプラズマ肺炎の流行

 

 

マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマという細菌に感染することによって起こる呼吸器感染症です。

 

2000年以前、マイコプラズマ肺炎は4年周期で流行していたため「オリンピック病」と呼ばれていました。

その後、周期が一度途切れましたが、2012年より4年周期に再び戻り、2012年、2016年に大流行がありました。

2020年にもマイコプラズマ肺炎の大流行があると予測していましたが、新型コロナウイルス感染症の流行によりマスク着用・手洗いの徹底・ソーシャルディスタンスの確保などの感染対策が徹底され、マイコプラズマ肺炎の発症はほとんどみられませんでした。

 

しかし今後、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、感染対策が緩和されていくと、多くの人はマイコプラズマ等に対する抗体をもっていないため、インフルエンザやマイコプラズマ肺炎の大流行が起こると予測されています。

 

 

マイコプラズマ肺炎の症状

 

 

マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマという細菌が口から侵入して気管の線毛上皮細胞に付着することから生じます。

肺炎マイコプラズマは付着した後、線毛上皮を滑走して細胞表面に移動し、気管支細気管支領域炎症を起こします。

 

マイコプラズマ肺炎は気道の炎症がきわめて強い点が喘息と類似しており、咳嗽症状が強く起こることが大きな特徴です。

また、発熱を伴うことが多くあります。

一方、マイコプラズマ肺炎では鼻汁が少ない点は、他のウイルス性感染と異なります。

 

 

マイコプラズマ肺炎の検査・診断

 

 

2013年以降、肺炎の診断やガイドラインが極めて進歩しました。

その背景には、マイコプラズマ肺炎の大流行や、マクロライドという抗菌薬へ耐性をもつマイコプラズマが出現したことにより、マイコプラズマ肺炎の明確な診断が必要とされたためです。

マイコプラズマ肺炎の検査は、2013年までは抗体検査のみでした。

この検査では発症した直後(急性期)と発症後2〜4週間の血清を比べ、抗体が上昇していれば「マイコプラズマ肺炎」と診断していました。

 

しかし、この方法では数週間の時間を要するため患者さんが受診した時点で直ちに診断することができませんでした。

 

2013年以降、新たな検査法が次々と開発され、たった15分で検査結果が分かる抗原検査は現在も非常によく用いられています。

この抗原検査の進歩は、現在流行している新型コロナウイルスの抗原検査にも応用されています。

 

また、遺伝子検査は専用の機械を用いることで短時間で行えるようになりました。

 

このような検査法の進歩により、マイコプラズマ肺炎の迅速な診断が可能となっています。

 

 

 

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