妊娠高血圧腎症は、発症時期によって二つの型に分けられます。
妊娠34週未満までに発症するものを早発型、それ以降に発症するものを遅発型と呼びます。
早発型は、胎盤が小さい、新しいパートナーとのはじめての妊娠、などの特徴があります。
肥満や、高脂血症などがある場合には、遅発型になることが多いです。
早発型は、2021年7月から保険適応になったsFlt-1/PIGFを測る検査を取ると、その値がとても高いのが特徴です。
妊娠18週から36週未満で血圧が140/90mmHg以上で、尿蛋白がでたら、HDPと診断されますが、それより少し高い血圧130/80くらいで蛋白尿がでている、赤ちゃんの発育が悪い、へその緒の血流が悪いなどがあれば、その検査を取ることにしています。
そして、値が高い場合は、非常に注意しながら経過を見ていくこととなります。
遅発型の場合は、赤ちゃんが元気で、お母さんの臓器障害がなければ、妊娠期間をなるべく長く取る(妊娠36週6日目くらいまで)ようにしています。
ただし、胎盤機能不全や臓器障害などが出てきた場合には、すぐに出産に移行します。
37週以降だと、赤ちゃんが元気で、臓器障害がなくても、早めに出産を促します。
胎盤機能不全など、環境が悪くなっている場合には、ただちに出産に移行させます。
出産後に値が正常に戻っても、お母さんは、高血圧、虚血性心疾患、脳卒中や認知症のリスクが高くなることが分かっています。
定期的な健康チェックは必要となります。
2週間健診の時には、血圧が安定しているか、尿蛋白が消えているか、採血をして、肝臓や腎臓の値もみます。
ストレスチェックも行います。
赤ちゃんに関しては、体重が増加しているか、便の状態や黄疸はないかなどをチェックします。
一か月健診時には、お母さんの血圧が140/90mmHg以下で尿蛋白がでていなければ、そこで経過観察は終了となりますが、そうでない場合には、内科に紹介して治療を継続してもらいます。
赤ちゃんに関しては、二週間健診と同様のチェックを行います。
HDPになった方が日常生活で気を付けることとしては、塩分をとりすぎないようにすることです。
家庭用血圧計で、血圧を定期的にチェックすることも大事です。
授乳中はカロリーが必要ですが、授乳が終了したら、適切なカロリー摂取と栄養バランスに配慮して過ごしてほしい、定期的に運動をして肥満にならないよう注意をすることも大事、と齋藤先生はお話しされていました。