まずは、前回の動画に引き続き不妊症の検査についてご紹介します。
通常、高温相である排卵後5~7日目には、着床を助ける黄体ホルモンが分泌されます。
この黄体ホルモンの量が少ないと、着床率が低下したり、妊娠の継続が難しくなったりする場合があるため、高温相には血液検査でホルモン検査を実施します。
月経周期に関係なく行われる検査も複数あります。
・クラミジア検査
感染していると卵管が詰まる原因となるため、検査を行い陽性であれば内服薬治療を行います。
・子宮がん検査
あらかじめ、エコーや細胞診で子宮頸がんや子宮体がんがないか検査をします。
・血液検査
B型肝炎やC型肝炎などの感染症や抗精子抗体の有無、甲状腺ホルモン値、風疹抗体の有無などを調べることができます。 甲状腺機能低下症あるいは亢進症は不妊のリスクを高めるため、甲状腺ホルモン値を測定することもあります。 また、妊娠中に風疹に罹患すると胎児が先天性風疹症候群になる可能性が高いとされているため、風疹抗体がなければあらかじめワクチンを摂取してから、妊娠に臨むことが勧められています。
・血糖値検査
妊娠初期の血糖値が非常に高いと排卵しにくくなったり、児の奇形率が高くなるなどのリスクが生じます。 高血糖が明らかになった場合は、内服薬などで血糖コントロールを行います。
・精液検査
男性の精液を採取し、精液の量や精子の数を調べます。 不妊症の原因は男女双方にある場合も多いため、必ず女性の検査と並行して男性の検査も行うことが勧められています。
不妊治療の治療にはいくつかの段階があり、それぞれに合わせたステップで進められていきます。
大体半年ほど同じ治療を行ってうまくいかなければ、次のステップへ進むことになります。
人工授精と体外受精に関しては、治療が適応となる場合について説明しています。
詳しい方法については、次の記事でご紹介しますので、そちらもあわせてご覧ください。
1.タイミング療法
検査の結果、特に大きな問題はなく、自然妊娠が目指せそうな場合に勧められます。排卵日の2日程前から排卵直後の翌日くらいまでは妊娠しやすい時期であるため、時期を予測して夫婦生活を持っていただくという、一番自然に近く治療の負担も少ない方法です。毎回妊娠に結びつく卵子が排卵されるわけではないため、タイミングがしっかり合っていても必ずしも1回で妊娠するわけではないという点には注意が必要です。
2.人工授精
タイミング療法を行っても妊娠に至らない機能性不妊や、軽度の乏精子症、精子無力症がある場合、精子と頸管粘液の相性が悪い場合などには、人工授精を行います。
3.体外受精
人工授精を何周期か行っても妊娠に至らない場合は、体外受精のステップへ進みます。また、検査を経て最初から体外受精を行うケースとしては以下の通りです。①精子がとても少なく顕微鏡受精を行う必要がある②両方の卵管が閉塞している③重症子宮内膜症④高齢妊娠であり、卵子の質が下がる前に妊娠確率の高い治療を早めに行いたい⑤重度の排卵障害かつ、多胎妊娠を予防したい⑥抗精子抗体陽性
検査結果やタイミング、夫婦の希望によって行われる治療は変わってくるため、医師に相談しながら決定するようにしましょう。