慢性腎臓病(CKD)の疾患概要、悪化したらどうなるの?

最近新たな国民病として取り上げられている病気に、慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease、以下CKD)があります。 悪化すると透析が必要になるなど、注意しなくてはいけない病気ですが、初期症状がほとんどないのが特徴です。 今回はCKDについて、IMSグループ 板橋中央総合病院 腎臓内科 塚本 雄介先生よりお話を伺いました。

 

CKD(慢性腎臓病)の概要

 

 

CKD(Chronic Kidney Disease)とは、慢性腎臓病の略です。

 

近年、透析に治療が必要になる危険性の高い病気として、糖尿病性腎症や高血圧に伴うCKDが増えており、原因となる病気は様々あります。

ただ、3か月以上継続して腎機能が低下していく可能性のある腎臓病には、かなり共通項があります。

これを、eGFRという指標を用いて、腎機能と尿の所見(蛋白尿の割合)をみると原因に関わらず、腎機能低下の進行速度はほぼ同じということがわかりました。

 

CKDの重症度分類ということで、表に示します。

 

慢性腎臓病(CKD)の重症度分類

 

糸球体ろ過量GFRと略します)を90から15まで6等分します。

数値が低いほど腎機能が低下しているとみて、CKDのリスクが高くなると解釈します。

 

A1~A3は尿中のアルブミン量(蛋白尿)の割合です。

それを見ると、GFRが低下していなくても、蛋白尿が多い場合には専門医による治療を行わないと進行していく危険性があると判断します。

 

また、今までは腎機能というのはクアチニンの数値で見ていましたが、性別と年齢によって、クレアチニンが示すGFRの値は異なってきます。

そのため、クレアチニンから推測するのは難しいです。

 

GFRの換算式に、クレアチニン、性別、年齢を入れるとGFRが推算され、そのことによって、腎臓病のリスクが分かるという形になっています。

これらの背景が、診療が進む大きな転機になったと言えるでしょう。

 

 

腎臓内科の役割

 

 

CKDには、治療すれば腎機能が低下しないネフローゼから、数週間から数か月で悪化してしまう腎臓病もあるなど様々です。

ネフローゼは若い人に多く、いわゆる微小変化型といわれています。

 

これらの診断をしっかり立てて、原因によって治療法が異なるものもあるため、治療方針を決定する、ということが腎臓内科の大きな役割だと思っています。

 

 

CKD罹患患者の特徴

 

 

80代だと2人に1人、70代だと3人に1人、若い人だと20数人に1人がCKDになるというように、若い人と高齢者では割合が異なってきます。

日本で初めてCKD対策をしてから16年経ちますが、早期発見・早期治療を行うことで治癒することができる疾患は増えてきており、状況は改善してきていると感じています。

 

 

来院される患者の特徴

 

 

ほとんどの場合は検診や、高血圧や糖尿病で診ているかかりつけ医からの紹介です。

 

検査でクレアチニンが増加したり、増加の速度が早くなった、という相談が主です。

症状があって来院というのは、医師にかかってない、検診もうけていないという方が多いです。

 

また、むくんだということで受診される方は多いです。

クレアチニンから推算したe-GFRを人間ドックでも測るようになりましたが、一方で、せっかく健診後に受診を勧められているのに放置している人が、おそらく悪くなる人の半分以上を占めているのではないかと考えています。

 

 

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