社会に根付いたアレルギー性鼻炎と喘息との関係

今や現代人の多くが罹患しているアレルギー性鼻炎、増悪すると鼻水やくしゃみだけでなく全身の痒みまで引き起こし、私たちの生活に大きな影響を与えます。 小児の場合、喘息をもっている人も多くアレルギー性鼻炎を合併していることも少なくないようです。 そして喘息とアレルギー性鼻炎には密接な関わりがあるとされています。 この2つの病気について国立病院機構 三重病院 耳鼻咽喉科 増田 佐和子先生に解説していただきます。

 

多くの人が困っているアレルギー性鼻炎、恐るべきその症状とは?

 

 

アレルギー性鼻炎では、鼻粘膜とアレルギーの原因となる物質「アレルゲン」が接触することで鼻粘膜に炎症が生じる病気とされています。

この炎症によって、くしゃみ鼻づまり鼻水といったアレルギー性鼻炎の3主徴が症状として表れることが多いです。

これらの症状は集中力の低下につながり、仕事や学業に支障をきたすこともしばしばあるとされています。

 

症状が増悪すると、全身の痒みを引き起こすこともあります。

 

こういった症状によって、睡眠に支障をきたす場合もあり、私たちの生活のクオリティー自体に多大な影響を与える可能性があります。

 

アレルギー性鼻炎の有病率

 

 

アレルギー性鼻炎のメカニズムについて

 

 

アレルギーには大きく分けてⅠ型~Ⅳ型まであります。

アレルギー性鼻炎はその中ではⅠ型にあたります。

 

Ⅰ型の特徴はIgE抗体という体内の免疫によって、炎症が即時的に起こるという点です。

アレルギー性鼻炎では、アレルゲンが鼻粘膜に侵入することでIgE抗体が体内で産生、活発化し鼻粘膜で炎症を引き起こします。

この炎症によって鼻粘膜が腫れ、鼻づまり鼻水といった症状が出現させているのです。

 

 

アレルギー性鼻炎と喘息の関係

 

 

今でも多くの方が罹患している喘息アレルギーと密接な関わりがあります。

 

喘息は運動気圧の変化などちょっとした刺激で発作が出現しますが、体にアレルギー反応が起こる事でも発作に発展します。

喘息患者の約80%がアレルギー性鼻炎を合併していると言われており、片方が悪化すればもう片方もつられて悪化しかねません。

 

小児期では、アレルギー性鼻炎が喘息発作の危険因子とされており、どちらもいい状態でコントロールする必要があります。

 

アレルギー性鼻炎の合併

 

 

小児喘息とアレルギー性鼻炎、両方の症状が出た場合の治療

 

 

小児喘息であれば小児科もしくはアレルギー科、鼻炎であれば耳鼻咽喉科となりますが、どちらの症状もある場合はどの診療科にかかればいいか迷いますよね。

こういった場合、複数の診療科による協力が必要不可欠になってきます。

 

また、小児の治療では医療者だけでなく保護者の協力も必要です。

子供は病院に対して苦手意識が高く、注射や薬の服用を嫌がる傾向があります。

そうした時、子供を出来るだけ安心させるために保護者の声も必要になってきます。

 

小児の治療では医療者と保護者みんなで協力して治療にあたる必要があります。

 

 

 

「社会に根付いたアレルギー性鼻炎と喘息との関係」に関する記事・動画

アレルゲン免疫療法の実態と普段からできるセルフケア
なかなか治らないアレルギー性鼻炎、薬物治療とアレルゲン免疫両方について
本サイトの利用にあたっては、当社の定める利用規約が適用されます。利用規約はこちらからご確認ください。