渡航医学の概要

コロナ禍以降、日本の渡航者数は急激に減少していましたが、入国制限措置が緩和され始め、今後は海外渡航者がさらに増加すると予想されています。 
海外渡航に関する、健康面への不安や感染予防の疑問といったお悩みを解決するために、渡航医学を専門に扱うトラベルクリニック(渡航者外来)が存在します。
 今回は、川崎医科大学 公衆衛生学の依田 健志先生に、渡航医学の概要と、渡航に際して必要な備えについてご紹介していただきました。

 

渡航医学の概要

 

 

渡航医学とは、海外旅行者の医療全般を扱う学問で、日本からの出国者、あるいは海外からの入国者のどちらも対象となります。

渡航前に健康診断や感染予防のためのワクチン接種を行ったり、滞在先で遭遇する可能性のある健康関連のトラブルに対処するためのアドバイスを行ったりと、主に予防医学を役割として担っています。

加えて、帰国後に体調不良となった方への診断・治療も行います。

 

 

渡航前の備えについて

 

 

まずは、自分が渡航する予定の国について、よく調べていくことが大切です。

 

外務省の海外安全ホームページの海外安全情報というページでは、国ごとの危険情報・感染症危険情報が危険レベル別に色分けされている地図を参照することができます。

外務省により、レベル2は不要不急であれば渡航中止勧告、レベル3は渡航中止勧告、レベル4は退避勧告が行われています。

このような情報を最初に活用し、どうしても渡航しなければならない事情がある場合を覗いては渡航を控えるなどの判断をきちんと行っていく必要があります。

 

国ごとの感染症危険情報

 

同じく外務省の、海外の安全情報配信している「たびレジ」に登録すると、旅先の最新の安全情報を入手できたり、現地で事件・事故に巻き込まれた際に対応してもらえるなど、安心のサービスを受けることができます。

このような政府の登録サイト等を活用することも重要です。

 

 

海外旅行傷害保険のご案内

 

 

海外で健康トラブルが起きた際に現地の病院を受診すると、治療費が非常に高くなってしまいます。

特に日本人専用のクリニックでは、薬を処方されただけで4~5万円、手術や入院治療となると数百万円かかる場合もあるほどです。

 

また、渡航者用の保険に入っていなければ、怪我や急病の場合でも治療すら受けられないということも実際に起きています。

 

不慣れな土地や環境では、事故や感染症に遭遇してしまうリスクもないとは言いきれません。

渡航先で安心して過ごすためにも、早めに手続きを行い海外旅行障害保険に加入しリスクに備えることが重要です。

国や地域によっては、入国するためには新型コロナウイルス感染症の治療をカバーしている保険に入っていなければならないという条件が付いている場合もあります。

 

また、クレジットカードに付帯している海外傷害保険では、補償内容や金額に制限がある場合があり、追加での加入が勧められます。

保険を選ぶ際には、自分の渡航する国や旅程と、補償内容に問題がないかをしっかりと照らし合わせ、確認したうえで加入するようにしましょう。

 

また、海外で治療して現地で治療費を支払った場合、帰国後に日本の社会保険システムから治療費を還付してくれる海外療養費制度を利用できる場合もあるため、確認しておくとよいでしょう。

 

 

 

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