海外渡航時のワクチン接種について

前回の動画では、渡航医学・トラベルクリニックの概要についてご紹介しました。 
渡航先によっては、特別なワクチン接種や予防内服薬が必須になりますが、ご存知でしょうか。接種できる時期や場所が限られるものもあるため、計画的に接種を検討する必要があります。 
今回は、川崎医科大学 公衆衛生学の依田 健志先生に、海外渡航時のワクチン接種についてお話を伺いました。


 

ワクチン接種について

 

 

海外渡航に際して必要なワクチンは、渡航先や渡航目的によって異なります。

 

アフリカや南米の国・地域では、黄熱ワクチンを接種すれば入手できるイエローカードという予防接種証明書を提示しなければ入国できない場合もあります。

黄熱ワクチン接種が必須の国に渡航する際には、自分で予約して接種しなければなりません。

現在、日本国内で黄熱ワクチンを接種できるのは、免疫所東京医科大学病院りんくう総合医療センターなどの、スライドに示された9施設に限られています。

 

黄熱ワクチン 接種可能な施設一覧

 

加えて、受付の開始日・終了日が厳密に決まっており、接種日も月1回あるいは週1回と限定されています。

黄熱ワクチンを接種しなければならない国・地域に渡航することが決まり次第、早めに接種の場所や日程の計画を行いましょう。

 

海外渡航に際して接種が必要なワクチンは、他にもあります。

破傷風・B型肝炎・日本脳症のワクチンは、多くのクリニックで接種可能です。

日本国内で認可されていない腸チフス・ダニ媒介性脳炎など特殊なワクチンは、渡航医学を専門に扱うトラベルクリニックで接種できる場合もあります。

マラリアは、抗マラリア薬を予防内服することで、ある程度罹患を防ぐことが可能です。

 

いずれにしても、なかなか通常の病院やクリニックでは扱っていないワクチンや薬が多いため、渡航に際してはトラベルクリニックを利用するのが良いでしょう。

 

渡航先別推奨ワクチンリスト

 

 

トラベルクリニックについて

 

 

トラベルクリニックを運営している代表的な団体として、日本渡航医学会日本旅行医学会があります。

 

日本渡航医学会と日本旅行医学会のホームページでは、トラベルクリニックとして登録されている施設を調べることができます。

どのようなワクチンが接種できるか、どのような予防内服が可能かということまで詳しく紹介されているため、自分が住んでいる地域で、どのトラベルクリニックを利用すればよいか調べる際に便利です。

 

また、2023年2月時点では、新型コロナウイルス感染症対策のために渡航制限措置がとられている地域が114ヵ国・地域提示されていますが、ほとんどの国・地域では、コロナワクチンを2回以上接種している場合は入国を認める形となっています。

 

日本政府は、コロナワクチンの接種証明書を公式に提示できる、マイナンバーカードと連携しているサイトを用意しています。

日本国内でコロナワクチン予防接種を受けた場合、接種証明書を紙で持ち歩いていなくても、接種した回数がマイナンバーカードと連携してサイトに表示されるのです。

国際的に使える接種証明書もこのサイトで入手することができます。

事前にサイトに登録しておけば、帰国時あるいは海外入国時にスムーズに手続きを行うことができ、大変便利です。

 

また、2023年2月現在日本に入国される方は、VisitJapanWebという入国手続きをオンラインにて行う必要がありますが、サイトに登録された情報を紐づけることで入国手続きが非常にスムーズになります。

帰国間際は慌ただしく確認しづらいため、このような手続きも事前に確認しておくのがよいでしょう。

 

 

 

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