コロナ後遺症の治療薬

総合診療
新型コロナウイルス感染後に生じる「コロナ後遺症」に苦しんでいる方も多いのではないでしょうか。 コロナ後遺症を訴える患者さんも増え、症状の特徴やどのような人に起こりやすいのかについて少しずつ分かってきました。 今回は、コロナ後遺症の症状と実態について、岡山大学病院 総合内科・総合診療科の大塚文男先生に教えていただきました。

 

コロナ後遺症、現時点での解釈

 

 

コロナウイルス感染後の後遺症として、倦怠感や味覚障害、脱毛や不眠といった様々な後遺症が報告されています。

 

しかし現状、これらの後遺症を治療するための特効薬はありません。

特効薬が存在しない理由として、症状は個人差が大きく複数の症状が混在していること、またそれぞれの後遺症症状がコロナウイルスによって直接引き起こされているのかどうか不明確というところにあります。

元々潜んでいた病気が、コロナウイルスに感染したことを契機に症状が出てきたという可能性もありますし、コロナ感染中に療養していた施設などでの孤立した環境によって症状が悪化した可能性もあります。

 

コロナ感染急性期の重症度

 

 

またコロナ治療ではステロイドなどの治療薬を使用するケースがあります。

ステロイドは副作用の多い薬剤でもあるため、コロナ後遺症で報告された不眠や精神的症状が治療薬の影響であった可能性もあります。

 

こうした患者の療養環境や社会的背景をしっかり聞き取ったうえで、報告された後遺症が本当にコロナの影響で生じているのか?という事をしっかり吟味することが治療を行う上で重要になってきます。

 

今回のコロナ感染の蔓延は人間の身体的な面だけではなく、社会環境や経済的不安などから精神的に影響した側面も大きいと言えます。

精神的負担の増加によって、味覚障害や不眠などの症状を悪化させることも十分に考えられます。

 

症状の原因が何なのかによって、薬でのアプローチの方法も変わってくるのです。

 

 

症状ごとの治療方法

 

 

患者の訴える症状が本当にコロナの後遺症によるものなのか、患者ごとにしっかり問診を行い症状の原因を探っていくことが、治療をしていく上で重要になってきます。

問診に基づいて診察・検査をおこなって原因を十分に精査し、それでもはっきりしない場合はその症状ごとに薬を処方していきます。

 

倦怠感に対しては、漢方薬の使用が選択肢に入ります。

倦怠感は、漢方の考え方では気(生命活動に必要なエネルギー)の不足と評価されることが多く、その場合は気を補う作用を持つと考えられている漢方薬を使用します。

睡眠障害などの精神的な要因が絡んでいそうな場合は、精神科と連携をとりながら精神安定剤や睡眠導入剤を処方して治療していきます。

味覚障害は亜鉛などのミネラルやビタミンが体内で不足することで起こる場合があります。そのためミネラルやビタミンを補給する薬剤が処方されます。

 

以上のように症状に応じた薬剤を処方することで対応していきます。

ただ脱毛や嗅覚・味覚障害については特異的な症状でもあるので、皮膚科や耳鼻咽喉科のような専門の科の医師と相談しながら必要な検査と投薬を考える必要があります。

 

コロナアフターケア外来の概要

 

専門科へのコンサルテーションと連携

 

 

コロナ後遺症のメカニズム

 

 

後遺症のメカニズムはまだまだ不明な点が多く、予防法を確立することは困難です。

そのため、あらゆる面からメカニズムを考えていく必要があります。

 

現段階で考えられているコロナ後遺症のメカニズムとしては3つの可能性があります。

・コロナに感染したことで、心身の疲労の蓄積によって症状を引き起こす

・コロナ感染によって、体内の免疫が過剰に反応することで臓器が障害される

・コロナ感染につづいて微小な血栓ができ、様々な臓器に血流の障害を起こす

これからの研究に期待が集まっています。

 

 

感染症対策において最も重要なポイント

 

 

コロナ後遺症の特効薬開発のためにメカニズムの究明は急がれますが、こういった感染対策で最も重要な部分は予防にあります。

日頃からマスクを着用3密行動を避け手指の消毒を徹底し普段からコロナに備えておくことこそが何よりも重要なのです。

 

予防という観点からはワクチン接種も有効な手段と言えます。

ワクチンはコロナ感染のリスクを抑えるだけではありません。

イギリスからの報告ではコロナワクチンを2回接種している場合、コロナ後遺症の発生が約半分に減少したという報告もあります。

そういった理由からもコロナワクチンの接種を国は推奨されると思います。

 

コロナ後遺症受診者の症状別の頻度

 

しかしコロナワクチンの副反応への不安で、なかなかワクチンの接種にふみきれない方は少なからずおられると思います。

持病をお持ちの方は特に…

そういった方々はかかりつけの医師とよく相談したうえで、接種するかどうか検討することが大事になってきます。

 

 

 

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