新型コロナウイルスに感染し、完治した後も何らかの症状が続く「コロナ後遺症」。
発症時の炎症反応により細胞にダメージを受けることなどから、後遺症が生じると考えられています。
完治したにも関わらず、その後も症状が持続することで、日常生活に支障をきたしてしまう可能性があります。
コロナ後遺症を抱える患者さんが増えていることから、専門的に診療する外来が注目されています。
岡山大学病院でも、2021年2月にコロナ・アフターケア外来が開設されました。
さまざまな症状に対応するために、総合内科・総合診療科という全身を診る医師のチームが診療に当たっています。
コロナ後遺症の症状として、倦怠感が最も多く、次いで嗅覚・味覚障害、脱毛、頭痛、呼吸困難、睡眠障害などがあります。
また、複数の症状が重なって現れることが多く、倦怠感は多くの患者さんでみられています。
コロナ第4波、第5波で変異株(アルファ株・デルタ株)が流行してからは、それまでにはなかった症状がみられるようになりました。
例えば、動悸、めまい、消化器症状、もやもや感、頭重感、立ちくらみ、手足の痺れなどです。
ブレインフォグ(Brain fog)は、医学的な診断名ではなく、精神的に鈍い、ぼんやりしているといった感覚を表す用語です。
コロナ後遺症として、このようなブレインフォグの症状である記憶障害、頭がすっきりしない、集中力の低下などを訴える方も増えてきています。
海外からの報告では、コロナ感染者の10~60%に後遺症が生じています。
また、コロナ後遺症は長期間持続することが分かってきました。
例えば、ノルウェーの研究では、軽症の患者さんの約60%が、半年経っても何らかの後遺症を抱えていました。
中国・武漢の報告では、入院時の重症度に関わらず、76%の患者さんは半年経っても何らかの後遺症が残っていました。
しかし、時間が経過すると症状は改善し、1年経つ頃には後遺症を抱えている人は49%まで減少することが報告されています。
コロナ後遺症は、以下のような方に現れやすいことが分かってきました。
同院では、男性よりも女性の割合が多くなっています。
症状の変化に敏感な女性に、後遺症の訴えが多いという印象です。
年齢では、20代、30代、50代が多く受診されています。
これらの世代は働き盛りであるため、疲れや不安によって仕事や日常生活に支障をきたしてしまう可能性があります。
イギリスの研究では、高齢者、肥満のある方、女性に後遺症が現れやすいと報告されています。
また、発症時の症状が多い人ほど後遺症が起こりやすいとされています。
高齢者や肥満は、新型コロナウイルスの重症化リスクとも重なります。
高齢者や肥満のある方は、重症化リスクにおいては男性が多いですが、後遺症に関しては女性に多い傾向にあります。
そのため、発症時の重症化リスクだけでなく、後遺症も含めて考えると、まずは新型コロナウイルスに感染しないように予防することが大切です。
すでにコロナに感染し、後遺症を抱えている方は、一人で悩まずに、かかりつけ医や保健所などを通じて、コロナ後遺症外来にご相談ください。
次回に、コロナ後遺症の治療法などについてご紹介したいと思います。