新型コロナウィルス感染症 嗅覚障害・味覚障害について

いまだに世界中で流行を続けている、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)。厚生労働省の研究によると、新型コロナウィルス感染症になったあと、治療や療養が終わっても、一部の症状が長引く人がいることがわかってきました。治療後にも続く症状に悩まされる方たちに向けて、各地で後遺症外来もできつつありますが、まだわかっていないことも多いようです。ここでは、いわゆる後遺症の一環としてある、「味覚障害・嗅覚障害」について、今現在わかっていることを、金沢歯科大学耳鼻咽喉科 三輪 高喜先生に教えていただきました。

 

嗅覚障害・味覚障害に対しての受診の目安

 

 

味覚障害または嗅覚障害を主な症状として受診する場合、その症状がいつ出てきたかということが大切なポイントとなります。

症状が出てから少なくとも3週間以内ということであれば、まだ新型コロナウィルス感染症による嗅覚障害・味覚障害の可能性があります。

二次感染の危険性もあるため、直接診察を受けることは控えたほうがいいでしょう。

 

新型コロナウィルス感染症による障害の比率

 

新型コロナウィルス感染症の症状としての嗅覚障害・味覚障害は、比較的速やかに治るものです。

そのため、まずは症状が出てから1か月経過するまで様子を見ていただいたほうがいいかと思います。

それ以上たっても症状が改善しない場合には受診をおすすめします。

 

新型コロナウイルスによる嗅覚障害の特徴

 

 

遷延症状(ポストコロナ)という表現について

 

 

一般には、治療が終わったあとも残る症状のことを「後遺症」といいます。

新型コロナウィルス感染症のあとに続く症状に対しても、同様の表現が使われることがよくあります。

 

しかし、最近では厚生労働省を含めて、このような表現ではなく「遷延症状」あるいは「ポストコロナ」の症状と表現されることが多くなってきているようです。

その理由としては、その症状がずっと続くものなのか、それとも時間の経過とともによくなっていくものなのかが、十分に分かっていないことがあげられます。

 

たとえば、発症1か月後にまだ嗅覚障害が残っている方の比率は40%ですが、半年たつと10%以下になることもわかっています。

そのため、「後遺症」という表現は適切ではないのかもしれません。

 

ただ、患者さんに説明するときには「後遺症」という表現のほうが伝わりやすいので、そういう表現を使うことはあるかと思います。

 

嗅覚障害残存率

 

 

ワクチンと後遺症の関連性

 

 

現在は、ワクチン接種率も上がってきていて、接種後の変化など様々な報告がなされています。

最近では、ワクチンによって後遺症の発生が抑えられる、という報告もあるようです。

 

しかし、「味覚障害・嗅覚障害」に関しては、ワクチンを摂取したかどうかと、後遺症が出るのかの関連性はまだ十分に分かっていないと感じています。

 

 

後遺症外来について

 

 

コロナ感染後にも続く後遺症については、各地でその対応をしてくれるクリニックが出てきています。

悩んでいる患者さんが増えているので、それ自体はいいことだと思います。

 

 

後遺症には男女差がある

 

 

嗅覚障害・味覚障害の長引く症状については、男性より女性の方が多いという結果が出ています。

 

似たような嗅覚障害を呈するもので「感冒後嗅覚障害」というものがあります。

それは、風邪の後遺症による嗅覚障害なのですが、これはウィルスが原因です。

こちらも、なぜ男女差がでるか詳しい原因はわかっていないのですが、女性の方が男性より3倍近く多いという結果が出ています。

 

そのため、新型コロナウィルスによる嗅覚障害も、非常に似たような病態を呈することが予想されます。

 

嗅覚障害・味覚障害の男女の発生率

 

 

 

「新型コロナウィルス感染症 嗅覚障害・味覚障害について」に関する記事・動画

コロナ後遺症の症状と実態

コロナ後遺症の症状と実態

大塚 文男 先生
コロナ後遺症の治療薬

コロナ後遺症の治療薬

大塚 文男 先生
小児におけるコロナ後遺症の実態
小児における新型コロナウイルス感染症の実態
小児の新型コロナウイルス感染症:ワクチン接種の必要性
本サイトの利用にあたっては、当社の定める利用規約が適用されます。利用規約はこちらからご確認ください。