接触皮膚炎の概要と原因物質

皮膚にブツブツやかゆみが現れる接触皮膚炎。 原因はさまざまですが、原因物質に触れることで症状を繰り返す可能性もあります。 予防するためには、症状を起こしやすい原因物質を理解しておくことが大切です。 今回は、藤田医科大学 ばんたね病院 総合アレルギー科 教授の矢上 晶子先生に接触皮膚炎について教えていただきました。

 

接触皮膚炎(接触性皮膚炎)の概要

 

 

接触皮膚炎とは、何らかの物質が皮膚に触れることで刺激やアレルギー反応となり、炎症を起こしたものです。

一般的には「かぶれ」とも呼ばれますが、湿疹赤み、かゆみ、腫れ、水疱などが生じます。

 

接触皮膚炎には「急性」「慢性」のものがあります。

急性の場合は、何かに触れたところが早期に赤く腫れてきたりする状態です。

代表的なものに、うるしかぶれがあります。

慢性の皮膚炎は、何年も前から腹部の湿疹がある場合などをいいます。

ベルトなどが繰り返し当たることで金属かぶれを起こしている状態です。

 

接触皮膚炎には、皮膚に触れる物質の刺激が強いために生じる「刺激性接触皮膚炎」と、皮膚に触れる物質にアレルギーがある場合に起こる「アレルギー性接触皮膚炎」などがあります。

 

 

接触皮膚炎の罹患状況:全ての年齢で発症

 

 

接触皮膚炎は、乳幼児から高齢者までの全ての年齢で発症します。

 

アレルギー性接触皮膚炎では、アレルギー物質の種類や量にもよりますが、最初は問題なくても繰り返し原因物質に触れるうちに免疫系が反応して、2週間程度経ってから症状が出てくることがあります。

 

アレルギーの原因は、日用品や植物、金属、化粧品などが代表的です。

また、職業によっては特定のものに繰り返し触れることで症状を起こすこともあります。

年齢別にみると50〜80歳代の方が多く発症しています。

主な原因はヘアカラー、医薬品などであり、年齢とともに使用する機会が増えて接触皮膚炎になりやすくなります。

 

 

接触皮膚炎の分類:部位によって原因物質を推定し、診断につなげる

 

 

接触皮膚炎には「限局性」「全身性」があります。

 

限局性とは、接触した部位のみに炎症が起こる状態です。

全身性は、接触した部位に炎症が起こり、それが全身に拡がる状態です。

 

限局性は、日光に当たる部分「露出部」と日光に当たらない部分「非露出部」という分類に分けられます。

それぞれの身体の部位によって、接触皮膚炎の原因になりやすい代表的な物質があるため、一つずつ確認して診断していきます。

たとえば、頭部の場合にはヘアカラー、顔面の場合は化粧品・外用薬・サンスクリーン剤・眼鏡、眼の周囲の場合は点眼薬・花粉などが原因になりやすいです。

 

接触皮膚炎の分類

 

 

近年増加傾向にある接触皮膚炎の原因物質は?

 

 

接触皮膚炎の原因として化粧品・薬用化粧品、医薬品、金属の装飾品などが代表的です。

 

ヘアカラーは、接触皮膚炎を起こす方が長年多くなっています。

頭皮や顔面、首などに湿疹を繰り返す場合は、シャンプーの成分であるイソチアゾリノンという防腐剤の可能性もあります。

 

化粧品では、美白剤で接触皮膚炎を起こす方が最近増えています。

アイシャドウで眼の周りに湿疹が起きる場合は、カルミンという赤色の色素が原因の一つです。

 

医薬品では、消毒薬香水などでかぶれる方もいます。

 

金属もアレルギーを起こしやすく、中高生で金管楽器を吹いている方は接触皮膚炎を起こして唇が荒れてしまう場合もあります。

 

接触皮膚炎を起こさないためには、症状を起こしやすい原因物質を知っておくことが重要です。

かぶれが起こった場合は、何をいつ使ったかを振り返り、早めに受診するようにしてください。

 

接触皮膚炎の原因製品の割合

 

 

 

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