接触皮膚炎の治療方針と日常生活で気をつけるポイント

手や顔などにかぶれが生じる接触皮膚炎。 市販薬を塗っても正しい治し方を理解していないと、なかなか治らないだけでなく症状の悪化や慢性的に繰り返す可能性があります。 今回は、接触皮膚炎の治療方針について藤田医科大学 ばんたね病院 総合アレルギー科 教授の矢上 晶子先生に解説いただきました。

 

接触皮膚炎の治療方針

 

 

接触皮膚炎の症状が全身に生じている場合は、大きな医療機関を受診していただくことになります。

それに対して、一つの部位に症状が留まっている限局性の場合皮膚科クリニックなどでも対応が可能です。

 

治療の基本は、原因物質を避けることです。

手湿疹の場合は症状を繰り返すことが多いため、原因物質に触れないように手袋を装着することや、原因物質が直接皮膚に付着しないようにする予防クリームの使用を検討していきます。

 

治療二つ目のポイントは、湿疹に対して適切な強さの薬を選び、適切な量・回数で使用することです。

これが正しくできていないと、急性の接触皮膚炎でも悪化したり慢性的に繰り返したりします。

 

よく使用される薬剤には刺激性・アレルギー性の接触皮膚炎を問わず、かゆみを抑える「抗ヒスタミン薬」と炎症を抑える「ステロイド外用薬」があります。

薬の塗り方は、静かに優しく、やや厚めに塗るようにしてください。

具体的にいうと、薬を塗った後にティッシュを重ねた場合、そのティッシュが落ちずにペタッと付く程度の量が適しています。

 

治療三つ目のポイントとして、薬を使用してもどうしても治らない場合は保湿が足りていない可能性があります。

ステロイド外用薬は炎症を抑える作用はありますが、皮膚を乾燥させる側面もあります。

皮膚が乾燥していると、バリア機能が低下して、治りを遅くしてしまう可能性があります。

 

たとえば手湿疹の場合は、手全体に保湿剤をていねいに塗った後、湿疹部位にステロイド外用薬を重ねて塗るようにしてください。

 

接触皮膚炎の基本的な治療方針

 

 

接触皮膚炎の予後:原因の特定がカギ

 

 

接触皮膚炎は原因物質との接触を絶つことができれば根治が目指せます。

そのため、まずは原因を特定することが重要です。

 

接触皮膚炎の原因を見逃していたり、湿疹が出た時にその都度薬を塗るだけの対症療法を行っていると、治療が長期化して不要な医療費がかかることにつながります。

また、ステロイド外用薬を長期に使用することで、皮膚が薄くなる「皮膚萎縮」などの副作用が発生する場合もあります。

 

湿疹を繰り返す場合には、皮膚科専門医やアレルギー専門医のいる医療機関で相談した上で適切な治療を受けてください。

 

 

日常生活で気をつけた方がよいこと

 

 

アレルギー性接触皮膚炎の発症・重症化を防ぐためには、スキンケアを行い皮膚をよい状態に保っておくことや、ゴム手袋などを使用して皮膚を適切に防護することが大切です。

肌荒れや乾燥が生じていると、皮膚の一番外側にある角質層に隙間ができやすく、外から細菌や刺激などの異物が侵入しやすいため、かぶれを起こす可能性が高まります。

そのため、日頃から保湿してバリア機能を保つようにしましょう。

 

また、肌荒れ・手荒れが生じた場合に放置しないことも大切です。

軽度の湿疹でも放置せずに、適切な薬を使って早期に治すことは、きれいな肌を保つとともに症状を悪化させず新たなかぶれの発症を予防することにつながります。

 

最後に、どのような物質でも接触皮膚炎の原因になる可能性があるため、原因物質が分かったら徹底的に接触を避けるようにしましょう。

 

 

 

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矢上 晶子 先生

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