接触皮膚炎の検査・診断:悪化を防ぐためのポイント

皮膚に湿疹やかゆみが生じる接触皮膚炎。 アレルギーなどの原因物質が分からずに繰り返し触れることで、薬を使っても症状が治らないどころか悪化する可能性もあります。 接触皮膚炎の検査・診断について、藤田医科大学 ばんたね病院 総合アレルギー科 教授の矢上 晶子先生に解説していただきます。

 

皮膚に何らかの物質が触れることで生じる接触皮膚炎。

原因となる物質は、日用品や植物、金属、化粧品などの他に次のようなものもあります。

 

 

ピアスによる接触皮膚炎:市販品によって症状を起こしやすい

 

 

耳の接触皮膚炎で気をつけていただきたいのがピアスによるものです。

金属アレルギーのある方は意外と多くいます。

金属が皮膚に付くだけでは、かぶれやアレルギー反応を起こしませんが、イオン化することでかぶれが生じる可能性があります。

 

欧州ではニッケルが人工汗によって溶出する基準値が定められており、それに合格したものが製品として販売されますが、日本では同じような規制がありません。

そのため、ニッケルが汗に触れると容易に溶出してしまう市販品があり、18〜20歳頃の方が多く使用して皮膚炎を起こしやすい傾向にあります。

 

 

光接触皮膚炎:光が当たった部分のかぶれにも注意が必要

 

 

日光や紫外線が当たると、かぶれや炎症を起こす「光(アレルギー性)接触皮膚炎」もあります。

症状には、皮膚が赤くなるだけでなく、発疹かゆみ水疱などが生じることがあります。

光が当たった部分のみに症状が出現することが特徴です。

 

たとえば、典型的な例ではケトプロフェンという成分を含有する湿布を剥がした後に、その部位に日光が当たることで皮疹が生じることがあります。

湿布を貼ったのが数週間前・数ヶ月前であっても、湿布のような形に皮疹が現れた場合はすぐに受診してください。

 

光アレルギー性接触皮膚炎

 

 

接触皮膚炎の検査・診断:パッチテストによる原因物質の特定が大切

 

 

かぶれが生じて受診された場合、まずは問診でいつ・どのような症状が起こったのかなどをお伺いします。

 

検査の種類と診断方法

 

その後に、原因となるアレルギー物質を確認するための「パッチテスト」を行います。

パッチテストは血液検査よりも精度が高い検査です。

 

パッチテストとは

 

 

パッチテストの方法としては、アレルギーの原因として疑わしい物質を皮膚に一定期間貼付して、赤みやかゆみなどが生じるか確かめていきます。

子どもでも検査することが可能です。

パッチを剥がした時にすぐに反応が出る場合や、徐々に反応が現れる場合もあるため、当院では48時間後・72時間後・1週間後に判定をして、診断を確定していきます。

 

パッチテストの実施・判定

 

たとえば、美容師で手湿疹のある方にパッチテストを行うと、酸化染毛剤、ゴム手袋の化学物質、ニッケル金属が原因物質であると判明したこともあります。

原因物質が分からないまま接触し続けることで、症状を悪化させる可能性もあります。

検査をすることで原因物質が特定されるため、日常生活でそれらに触れることを避け、接触皮膚炎を改善・予防することが可能です。

 

より専門的な医療機関では「成分パッチテスト」を行っている施設もあります。

たとえば、化粧水でかぶれた場合、化粧品会社と連携しながら成分パッチテストを行うことで炎症の原因となる成分を特定できます。

 

原因物質に繰り返し触れることで症状が悪化してしまう場合もありますので、まずは皮膚科専門医のいる医療機関で相談してください。

 

 

 

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