悪性黒色腫とはどのようなものか

ほくろだと思っていた、または、ほくろが大きくなってきたと思っていたら、実はそれががんだった、ということがあります。 いわゆる「ほくろのがん」といわれる悪性黒色腫(メラノーマ)ですが、その病気がどのようなものなのかについて、聖マリアンナ医科大学病院 皮膚科 主任教授 門野 岳史先生にお話を伺いました。

 

悪性黒色腫の疾患概要

 

 

「悪性黒色腫」というのは、いわゆる「ほくろのがん」といわれるものです。

 

ほくろというのはメラノサイトというものにほぼ相当しますが、我々の皮膚の色が黒いのは、そのメラノサイトがメラニンという色素を作るからこのような色になっています。

そのメラニンを作るメラノサイトががんになったものが悪性黒色腫になります。

 

通常は皮膚がほとんどかと思われますが、このメラノサイトというのは実は皮膚以外にもあり、口の中外陰部肛門、あとは眼球の網膜食道などにもあるといわれています。

なので、まれにそのような場所からもメラノーマ、悪性黒色腫は出てきます。

 

悪性黒色腫は早期の例が最近は多いのですが、進行すると非常に転移しやすくリンパ節肝臓などに容易に転移するというのが、非常に難しいところだと思います。

 

悪性黒色腫(メラノーマ)とは

 

 

来院されるきっかけ

 

 

今までなかったところにほくろが出てきて、それがだんだん大きくなってきたというパターンもあります。

あとは、頻度は必ずしも高くはないのですが、生まれつきのほくろが、ある程度年齢を経てからだんだん姿形が変わってきて心配になって来た、というパターンもあります。

 

 

悪性黒色腫の罹患状況

 

 

悪性黒色腫は日本人は幸いにして数は多くなく、以前よりも増えたというものの、大体年間数千人くらいと言われています。

ただ正確な統計データがないのではっきりしたことは言えません。

 

人種差があり、白色人種に圧倒的に多いことが知られています。

おおよそ、白人だと人口10万人あたり10人日本人だと1人から2人くらい、逆に黒色人種ですと0.5人程度と少なくなっています。

 

また同じ白色人種でも、アメリカの場合と、より日光が多く当たるようなオーストラリア人の白人の場合では数字が違ってきます。

特にオーストラリアでは悪性黒色腫の罹患率が高いことが問題になっています。

 

 

悪性黒色腫の診断・検査

 

 

黒色腫の診断・検査についてです。

 

診断に関しては、肉眼所見が一番大事になります。

それに加えてダーモスコピーという光を乱反射しない拡大鏡というのが非常に診断に役立ちます。

この視診とダーモスコピーでまず判断をしていきます。

 

ダーモスコピー(Dermoscopy)による診断

 

通常はがんが疑われる場合は、生検細胞診といって組織の一部を取ることが行われていますが、悪性黒色に関しては、以前は生検はがんが飛び散るからできるだけやめた方がいいとされていました。

しかし、必ずしもそうでないことがわかりましたので、今は必要に応じて行うというのが、診断の流れになってます。

 

もし、視診や生検で悪性黒色腫と診断がついた場合は、リンパ節転移・遠隔転移の有無が重要になってきます。

なので、必要に応じて、CTPET検査のような転移しやすいリンパ節に対しての超音波での検査をおこなっていきます。

 

 

 

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門野 岳史 先生

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