悪性黒色腫の治療について

前回は、悪性黒色腫の概要について、聖マリアンナ医科大学病院 皮膚科 主任教授 門野 岳史先生にお話を伺いました。 今回は引き続き、悪性黒色腫をどのように治療していくか、外科手術だけでなく、手術が適応外の方にも使用できる治療薬についても併せてお話を伺います。

 

悪性黒色腫が生じやすい部位

 

 

白色人種は、日光が当たるところに多いですが、日本人の場合はそれとはあまり関係なくて、足の裏が有名です。

足の裏手のひら、こういった場所に起こる確率が大体半分くらいというふうに言われています。

 

 

悪性黒色腫の治療

 

 

診断および検査をして、まず、手術ができるかというのが重要なポイントになってきます。

手術ができる場合は通常は、そのガンの部分から5mm、もしくは1から2cm程度離して切除するのが基本になります。

 

あとは、リンパ節をどうするかということになります。

ある程度厚みがあるような場合には、センチネルリンパ節という、最も転移しやすいリンパ節を生検するという、センチネルリンパ節生検というのを腫瘍切除と一緒に行うことが一般的になります。

 

術前の検査でリンパ節転移がかなり疑われるような場合は、最初から所属リンパ節も全て取ってくるというようなリンパ節郭清を行います。

 

ある程度腫瘍が進行していた場合、リンパ節転移があるような場合は術後に免疫チェックポイント阻害薬もしくは分子標的薬を用いた補助療法というものを1年間行うのが一般的な流れになります。

 

逆にその手術ができない場合は、従来は通常のいわゆる抗がん剤というものを使っていましたが、正直なかなか効果がないというのが今まででした。

しかし、2015年以降、免疫チェックポイント阻害薬というものと分子標的薬というのが出てきましたので、この二つを2本柱として治療を行っています。

 

 

免疫チェックポイント阻害薬による治療

 

 

我々の体は元々ばい菌とかウイルスに対する免疫の力もありますし、実はがんをやっつけようという主要免疫っていうものも、体の中に備わっています。

 

ただ逆に免疫が行き過ぎても、自己免疫疾患、例えばリュウマチだとか、そういった病気になります。

なので、その免疫のバランスというのが重要になってきます。

 

免疫チェックポイント阻害薬というのは、免疫を抑えるような分子として、CHLA-4抗PD-1という分子がありますが、これらを阻害することで免疫を下げるものを潰すということです。

そうして、がんに対する免疫を上げるということで、治療を行うような治療法になってきます。

これに関しては、ノーベル医学生理賞を本庄先生が取られたということから、ある程度みなさまは知っているかもしれません。

メラノーマには、まずはその免疫チェック阻害薬というのが主に用いられて、ガンに対する免疫を上げることで、ガンをやっつけようというのが、その免疫チェックポイント阻害薬による治療になります。

 

 

 

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