睡眠時無呼吸症候群とは:症状と検査・診断方法は?

眠っている間に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群。 自分では無呼吸になかなか気づけませんが、日中の活動に影響を及ぼし、重症になると心臓病などの原因になる可能性もあります。 今回は、睡眠時無呼吸症候群の症状や検査などについて、順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科学 准教授の葛西 隆敏先生にお話を伺いました。

 

睡眠時無呼吸症候群とは:多様な症状につながる可能性も!?

 

 

睡眠時無呼吸症候群とは、夜寝ている時に舌の根っこがのどの奥に落ちることで空気の通り道(上気道)を塞いでしまい、呼吸が何度も止まる状態です。

無呼吸が起こると、血液中の酸素が低下していきます。

すると、脳が感知して酸素不足を補おうとし、目が浅く覚めます。

この状態を繰り返す結果、睡眠の質が悪くなり、日中の眠気起床時の倦怠感などの症状を引き起こすのです。

 

また、血液中の酸素が不足することによって心臓や血管への負担が増えるため、高血圧心臓病などの重篤な疾患につながる可能性もあります。

 

 

睡眠時無呼吸症候群の罹患状況について

 

 

国際的な調査をもとに試算すると、睡眠時無呼吸症候群にかかっている人は日本に1千万人以上いると言われています。

睡眠時無呼吸症候群は男性に多い病気です。

 

一方、女性ホルモンには呼吸を促す働きがあるため、女性は睡眠時無呼吸症候群にかかりにくくなっています。

ただし、閉経後は女性ホルモンが低下し、女性の罹患数も多くなるため注意が必要です。

 

 

睡眠時無呼吸症候群の要因:肥満には要注意

 

 

睡眠時無呼吸症候群は肥満が関係しています。

肥満の人は、首周りに脂肪がつくことで気道が狭くなるため、睡眠時無呼吸症候群が起こりやすくなります。

 

そもそも肥満は生活習慣病であり、循環器疾患心臓病のリスクの一つです。

さらに睡眠時無呼吸症候群が加わると、循環器疾患や心臓病のリスクが高まります。

 

肥満ではない方でも睡眠時無呼吸症候群になると、自律神経のバランスをくずしたり、低酸素状態によって血管への負担がかかったりするため、心臓に負担をかける可能性があります。

 

 

睡眠時無呼吸症候群の受診のきっかけ:早めの受診・治療を

 

 

受診のきっかけで一番多いのは、家族からいびきを指摘されることです。

寝ている間の無呼吸に自分ではなかなか気付けません。

心配な方は、10秒以上の無呼吸大きないびきを繰り返しているか、ご家族などに一度聞いてみてください。

 

その他に、夜中に何度も目が覚めてしまう状態や日中の眠気起床時の頭痛などの症状を自覚して受診される方も多くいます。

「もしかしたら?」と思ったら、お近くにある内科耳鼻科もしくは睡眠外来などで一度ご相談ください。

 

 

睡眠時無呼吸症候群の検査・診断:客観的な検査が可能

 

 

睡眠時無呼吸症候群の検査では、初めに問診のどの形状などをみる視診を行います。

その後、簡易ポリグラフィ検査を行います。

これはセンサーを装着することで鼻や口での呼吸の状態や血液中の酸素濃度などを測定する検査です。

検査機器の貸し出しが可能なため、自宅で簡単に測れます。

 

簡易検査で中等症〜重症となった場合は、睡眠ポリグラフィという精密検査を行います。

簡易検査で調べた項目に加えて脳波筋電図なども測定し、無呼吸の状態や睡眠の質への影響を調べるもので、通常は入院して行う検査です。

ただし、対応できる施設が限られているため、まずはお近くの病院でご相談ください。

 

いずれの場合でも診断するためには客観的な検査を行い、無呼吸がどの程度あるのかを調べることが重要です。

 

 

 

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