睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に何度も呼吸が止まる病気です。
眠りの質が悪くなるだけでなく日中の眠気やだるさなどが生じ、生活に支障を及ぼすことがあります。
睡眠時無呼吸症候群の重症度を表すのが、検査時の無呼吸と低酸素状態の合計回数などから判定する無呼吸低呼吸指数です。
この指数を半減させ症状を改善するために、まずは生活習慣を改善することが重要です。
肥満があり軽症の場合でも、体重を10%以上減らす必要があります。
ただし、急激な減量はリバウンドしてしまう可能性があるため、半年〜1年かけて長期的に減量するのが望ましいとされています。
肥満ではなく下顎が小さかったり、加齢のために筋肉が緩んだりすることで無呼吸が生じている場合は、体重は関係していないため、現時点で期待できる根治療法はありません。
睡眠時無呼吸症候群の対症療法には、代表的な3つの方法があります。
睡眠時無呼吸症候群と診断され、特に中等症以上の場合はCPAP(シーパップ)療法が適応となります。
CPAP療法は、鼻に装着したマスクから空気を送り続けてのどの通り道(気道)を開けることで、寝ている間の無呼吸を防ぐもの。
保険適応となっているため、病院から装具一式をレンタルして使用できます。
身体に負担をかけずに有効性をある程度期待できる方法です。
軽症の場合やCPAPのマスク装着や鼻呼吸がうまくできない場合は、マウスピースなどの口腔内装置(OA)で対応する場合もあります。
歯科医院でマウスピースなどを調整する必要はありますが、身体に負担をかけずに症状を改善できます。
舌下神経電気刺激療法は、2021年6月に保険適用となった新しい治療法です。
この治療法は、心臓ペースメーカーのような小さな機械を皮膚の下に植込む手術法です。
機械からは2本のリード線が出ており、1本は肋骨の間の筋肉で呼吸の動きを検出し、もう1本は顎の付け根付近で舌を前方に突出させる筋肉を司っている舌下神経に刺激を送ります。
息が止まると舌下神経に電気刺激を送り、舌を前に出すことで空気の通り道が広がるしくみです。
舌下神経電気刺激療法は、現状では日本でまだ20例程度しか行われておらず、CPAPがどうしても使えない場合のみ適応となります。
また、植込み手術に対応している施設は国内に6〜7施設程度しかありませんが、これからますます普及してくることが予想されます。
CPAPが一度うまく使えなくても、再度試すことでうまく使える場合もあります。
どの治療が適しているかは個々の状態によって異なりますので、まずはかかりつけ医にご相談ください。