糖尿病の患者さんは、現在日本国内で1000万人、糖尿病予備群の人も1000万人と、ほぼ同等の人数が存在すると言われています。
トレンドを見ると、糖尿病患者数は増加し続けている一方で、糖尿病予備群の数は徐々に減少してきています。
これは、予備群の人に対する検診や特定保健指導などの介入が進んできていることによると考えられます。
しかし、糖尿病患者の数は依然として増え続けている原因としては、高齢になることそのものが糖尿病を引き起こすリスクとなることが挙げられます。
日本は急速に高齢化しており、その分だけ糖尿病になる人も増えているのです。
糖尿病の原因は、血糖値を下げる唯一の体内ホルモンである「インスリン」が分泌されにくくなることです。
インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されますが、加齢とともに膵臓のβ細胞の機能は低下し、同時にインスリン分泌能も低下します。
また、筋肉は最もブドウ糖を蓄える・利用することが出来る臓器ですが、加齢によって筋肉量が低下することで、インスリンが実際に効果を発揮する場所も無くなり、血糖値が上昇しやすい状態、すなわち糖尿病が生じます。
糖尿病の初期症状としては、口渇・多飲・多尿が挙げられます。
これらは、血糖値を正常にコントロールすることで、ほとんど消える症状です。
また、糖尿病においては、目・腎臓・神経が三大合併症として知られています。
この中で分かりやすいのは、神経症状として起こる、痺れです。
特徴は、脳からの距離が最も遠い足先から起こり、徐々に上半身へと広がっていくような症状を自覚しにくいという点です。
視力障害や視野異常といった、「目」における合併症が自覚症状として起こると、ほとんどの場合では、大規模な目の手術が必要な段階であることが多いです。
また、腎臓についても、足のむくみや疲れやすさなどの症状が現れた時には、すでに透析が必要な段階の腎不全であるケースが多いようです。
糖尿病の患者さんに対しては、自覚症状が無い時期から、定期的・積極的に、合併症の検査を行うことが推奨されています。
糖尿病を発症したタイミングを正確に捉えることが難しいケースは、糖尿病患者の90%を占める「2型糖尿病」の場合です。
このケースでは、初期の段階で合併症を自覚することが難しく、発症を捕捉することは困難と言われています。
一方、小児から起こりやすいと言われている「1型糖尿病」では、発症から数年で合併症が生じてくると言われています。
1型糖尿病では、細い血管のみならず太い血管までが侵される「大血管症」、いわゆる心筋梗塞や脳卒中、足の血管が詰まる「閉塞性動脈硬化症」といった症状が、糖尿病予備群の段階から生じることが分かっています。
起こりやすさは糖尿病の場合と同等です。
これらの症状は前触れなく、突然起こることがあるため、糖尿病予備群の段階から、定期的に血管などのチェックを行うことが推奨されます。
そして、糖尿病になった場合には、より密度を高く、定期的な検診を受けることが重要となります。