糖尿病の診断は、現在主に血糖値と、それに付随する検査結果や症状を鑑みて、綜合的に判断されます。
血糖値は、空腹時の値が126mg/dLを超えると、糖尿病が疑われる「糖尿病型」と判断されます。
また、食後で最も血糖値が高い時や、あるいは75gのブドウ糖が入ったジュースを飲んで2時間後の血糖値を測る「75g経口ブドウ糖負荷試験」と呼ばれる検査で200g/dLを超えた場合、糖尿病型と判定されます。
これらの判定方法のうち、2回で血糖値が高いという判定になると、糖尿病と診断されます。
一度の検査で判定するのは難しいため、上記に挙げた3つの血糖測定項目のうち1つを満たすと同時に、HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)と呼ばれる値が基準値を超えるかどうかで判断することもあります。
HbA1cは平均血糖値であり、1~2ヶ月の間の平均血糖値を示し、その値が6.5%を超えると、糖尿病と診断されます。
つまり、血糖値とHbA1c、または口渇・多飲などの糖尿病の特徴的な症状や網膜症などの合併症の組み合わせで血糖値が2回以上基準値を超えた場合、
もしくは血糖値以外の項目と血糖値の基準値を組み合わせて、診断を行なっています。
糖尿病の治療においては、原因であるインスリンの量やインスリンの効果を発揮する場所の状態によって、使用する薬が異なります。
極端にインスリンの分泌が少ないケースでは、インスリンそのものを補充する方法が採られます。
また、ある程度インスリンを分泌する能力はあるが不十分である、という場合には、インスリンが分泌しやすくなるような治療を選択します。
一方、インスリンは十分に分泌されているのに血糖値が高いというケースもあります。
これは、インスリンの効き目を受け取る能力が低下しているために起こる状態です。
したがって、治療では、インスリンの効き目を補助するような薬を選択します。
つまり、糖尿病の治療では、インスリンの量、絶対的・相対的な効き目に応じて、治療法が異なってきます。
また、近年の医学の進歩によって、個別化医療が取り上げられることが多くなってきました。
高齢患者さんが増加することで、合併症の症例も増えています。
例えば、糖尿病の治療薬の主たる役割は「血糖値を下げること」ですが、その効能が効きすぎることで、血糖値が低下しすぎて低血糖を起こすことがあります。
低血糖が起こると、それをきっかけとして、心筋梗塞・認知症・神経変化などが起こります。
なるべく低血糖を起こさないようにするため、高齢の患者さんのケースや合併症が重症化してきた場合には、安全な治療薬を選択することになります。
つまり、糖尿病治療の有効性(血糖値を下げる力)は、患者さんの病態に合わせる必要があります。
血糖値を下げること以上に、安全な治療を行う点に配慮されています。