睡眠外来では、過眠症よりも2〜3倍多くの中高生のお子さんが朝起きられないために受診されています。
朝起きられない症状は、一般的に小児科医から「起立性調節障害」と診断される場合が多いです。
起立性調節障害は、小学校高学年以降のお子さんで発症することがあり、寝る時間が遅くなって朝に起きられなくなります。
睡眠医学的には「睡眠相後退症候群」と診断される場合が多いですが、「若年性の起床困難症」といわれる場合もあります。
幼稚園、小学校低学年、小学校高学年と成長していくにつれ、就寝時間は遅くなり睡眠時間は短くなります。
中学生になると、23時頃に寝て朝7時頃に起きるため、睡眠時間はさらに短くなります。
しかし、第二次性徴が始まると、個人差はありますが、1度短くなった睡眠時間がもう1度長くなり、睡眠リズムが乱れてしまうことがあります。
例えば、余分に1時間〜1時間半眠らないと起床できない場合があります。
一方、就寝時間がだんだん遅くなっている状態は変わらないため、必要な睡眠時間を確保する分、起床するのが非常に困難になってしまいます。
身体がまだ寝ている状態で無理に立ち上がってしまうと、自律神経や血圧のコントロール等がうまくできず、立ちくらみ、めまい、気分不良、失神などの症状が出たりすることもあります。
入眠に関しては、小学校高学年や中学生などでもメラトニン徐放薬のメラトベル(メラトニン)1〜2mgやオレキシン拮抗薬のレンボレキサント(デエビゴ)2.5〜5mgなどの治療薬があります。
一方、起床に関する効果的な治療薬はこれまでありませんでしたが、最近、アリピプラゾールというお薬の有効性が認められました。
アリピプラゾール(エビリファイ)は0.5〜1mgを前日の朝または昼に内服すると、翌朝の起床改善に効果があります。
お子さんの朝起きられないという症状は、怠けていると捉えられがちですが、起立性調節障害が生じている可能性もありますので、早めに受診することが大切です。
受診先は、日本睡眠学会のホームページに載っている睡眠専門医のいる医療機関をおすすめします。
過眠症のように特殊な検査は必要ありませんので、メンタルクリニックやかかりつけ医、小児科医に相談しても良いと思います。