ナルコレプシーの治療法、社会生活を円滑に進めていくために

現在、社会のナルコレプシーに対する理解度は低く、病気というより怠けていると捉えられがちです。突然襲ってくる眠気に対処できず、いつの間にか気を失っている、といったことも多々あります。今回はそんなナルコレプシーの治療方法について、筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構の神林 崇先生に教えていただきます。先生には、ナルコレプシー患者が集まる「なるこ会」の活動内容についても紹介していただきます。

 

過眠症状がある時、脳内ではどのような事が起こっているのか?

 

 

ナルコレプシーに大きく関係しているホルモンとして、最近はオレキシンが注目されています。

しかし、以前から注目されていたホルモンはドパミンでした。

 

ドパミンは覚醒血圧などに関わるホルモンです。

日中に多く産生され、夜間には産生量が低下します。

ナルコレプシーではこのドパミンの産生異常により、日中の眠気や夜間の睡眠不良に関わっていると考えられています。

 

 

過眠症状に対しての治療薬

 

 

ナルコレプシーの過眠症状に関しては、脳内のドパミンを増やす薬を使用します。

ドパミンは日中に多くなりますので、朝方に服用していただきます。

症状に応じて、朝1日1回だけ服用する場合もありますし、朝と昼の1日2回服用する場合があります。

 

本来、ドパミンは夜間になるにつれ減少し、睡眠を促します。

 

しかし薬の影響で夜間のドパミンが増えてしまい、更に不眠を促す事が考えられます。

そんな時は、ドパミン薬の量を調整したり、睡眠導入剤を使用することで夜間睡眠の安定を図ります。

 

 

情動性脱力発作や金縛りに対しての治療薬

 

 

情動性脱力発作や金縛りといった症状に対しては、抗うつ薬SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)が有効とされています。

重度の情動性脱力発作には、オレキシン神経系の脱落が関わっていると言われており、オレキシンの活動を促す薬で効果が期待できると考えられます。

 

しかし、現在オレキシン関連の薬はなく、治験を行っている段階となっております。

 

 

治療は薬だけではない!なるこ会の活動

 

 

ナルコレプシーと診断され、治療が始まったとしても、すぐに症状が改善するわけではありません。

症状が改善したとしても、もとの社会生活に戻ることがなかなか難しい事もあります。

そんなナルコレプシーに苦しむ患者の集まりが、なるこ会です。

 

なるこ会では、自分たちの日々の生活での苦悩や、自分なりの症状への対処方法について情報交換しています。

薬で治療出来なかったとしても、日々の生活の工夫で対応できるケースもあります。

そういった情報を共有できる場を設けることで、患者同士で支え合い社会復帰を目指しています。

 

 

 

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