大腸憩室出血Part2-大腸憩室出血の治療法について-

前回は、大腸憩室とはどういうものか、また、大腸憩室出血とはどういった症状が出てくるのか、その検査や診断法についておしえていただきました。 今回は引き続き、大腸憩室出血の治療や予後について、また、血便が出た際にはどのように対応すればよいのかのアドバイスについて、消化器と診断・治療内視鏡クリニック院長 菊池 大輔先生にお話を伺います。

責任憩室の同定と治療法

内視鏡治療をする上で、まずは責任となる憩室を見つけることが非常に重要になります。この責任憩室のことを、私達は、SRH(Stigmata of Recent Hemorrhage)と呼んでいます。

これには三つ特徴があります。憩室というくぼみから湧き出るように出血をしている場合、これは活動性に出血をしているということで、一つのSRHです。次に、今は出血はないが、血管端(露出血管と言われるもの)が見えるものもSRHです。そして、憩室の周りに凝血塊(血の塊)が付着している、これもSRHです。

 

この三つの所見をまず見つける必要があります。では、それらを三つとも見つけられるのか、というと、憩室出血の際の内視鏡検査は非常に視野が悪いので、責任憩室を見つけられる確率は3割程度というのが、現状です。

SRHを見つけた場合の内視鏡治療の方法としては、大きく分けると二つあります。一つ目は、クリップといって内視鏡からホチキスのようなもので、該当場所を閉じる方法です。二つ目は内視鏡の先端にゴムが付いていて、それを憩室ごと吸い上げて、その輪ゴムを発射させて縛り上げる、結紮術といった方法になります。

 

治療後の再出血について

再出血率は、止血方法によっても異なります。例えば止血方法がクリップで、それも、憩室の血管を見つけてではなくて、憩室をただふさぐという治療の場合には再出血率は高いです。クリップの場合ですとしっかり血管を見つけてからのほうが、再出血率は低い。ただ、クリップよりも、バンド(結紮)のほうが再出血は低いと報告されています。

それでも、どの治療をしても再出血率は、2割を超えると言われているので、患者さんにも日常生活で再出血がおきる可能性があるということは、アナウンスをしている状況です。

 

 血便が出た場合の対処法

血便が出た場合には、一度しっかりと医療機関にかかっていただいて、最終的には内視鏡を一度受けていただくことが最良です。そしてもし、医療機関で診断を受けて大腸憩室であるとなった場合には、しっかりと止血をしてもらい、退院した後でも再出血の可能性があることを理解しておいていただきたいと考えます。

 

決して、過度に心配しすぎるというのもよくないですし、わずかな出血というだけで、すぐに受診しなければ、というわけでもないです。ただ、そうなったときには、日頃の、血圧、脈拍などを日々測定して、例えば、頻脈になってる(ドキドキする)、もしくは血圧がいつもよりも低めである、そして出血の量も多い、という場合には、一度医療機関を受診して、そのアドバイスに従って、内視鏡検査を受ける、というようにお伝えしています。

 

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