同院(本院・分院)では、咽頭がんに対する内視鏡治療を600件以上実施しています。
咽頭がんは、初期症状がほとんど現れず、何らかの症状に気づいたときにはがんが進行していることが多いのが特徴です。
また、咽頭の近くにある食道にがんを併発する人が多くいます。
一部の咽頭がんではリンパ節に転移することがあります。
その場合は、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)でがんが疑われる部位を切除するだけでなく頸部リンパ節郭清を行います。
そして病理検査の結果、再発のリスクが高いと考えられる場合は放射線治療を行い、フォローアップするのが一般的です。
咽頭がんの5年生存率は80%程度であり、他のがんに比べて治療後の生存率は比較的良好です。
現在のところ同院では、咽頭がんが早期の段階で見つかり、ESDで治療可能なものについては、咽頭がんを主因とする死亡例はみられていません。
ESD治療直後は、手術部位の痛みを生じるケースが少なくありません。
そのため、治療当日は食事をせずに患部の回復を待ち、手術後1日目〜3日目に流動食から始めるのが一般的です。
その後、五分粥、全粥に少しずつ形状を変更し、問題なければ退院となります。
そして、治療から6週間くらい経った時期にもう一度内視鏡検査を行い、傷が完全に閉じているかを確認します。
咽頭がんの内視鏡治療後は、同じ部位に再発する方が多いのが現状です。
治療後5年で25%程度の方が再発するという報告もあります。
また、咽頭の近くにある食道などにがん(異時発がん)ができる方も少なくありません。
そのため、治療後は半年に一度は内視鏡検査を受けることが重要です。
また、再発や異時発がんを防ぐためには、がんの原因になりやすいお酒・タバコを辞めていただくことも大切です。
飲酒や喫煙をされているなど咽頭がんになるリスクが高い方は、半年に一回程度の内視鏡検査を受けることをおすすめします。
内視鏡検査は多少なりとも苦痛を伴いますが、異常を早期発見することが最も重要です。
咽頭がんは早期に診断し、適切な治療をすれば決して治らない病気ではありません。
健康診断などで定期的に内視鏡検査を受けていただき、まずは早期発見を目指していきましょう。