関節リウマチは、概ね手指や足の指の痛みや腫れから、症状が始まることが多いです。
痛みという症状は、整形外科が担当することが多いため、関節リウマチの患者さんが最初に受診するのは、地域の整形外科クリニックである場合が最も多いと思います。
ほとんどの場合は、痛みのある箇所のレントゲンをまず撮影することが多いです。それに加えて、リウマチを疑う場合は、血液検査も行うことが多いです。血液検査は、体の中の炎症の程度や免疫異常を把握するために行います。
まずこの二つの検査を行うことが、関節リウマチの検査における重要なポイントとなります。
レントゲン検査と血液検査で診断がつかない方には、超音波検査(エコー検査)を行います。近年、関節のエコー検査を行うことで、レントゲンではまだ変化が現れない微細な変化が、先に見えることがあると分かってきました。関節のエコー検査は、ここ数年で、徐々に臨床現場に浸透しつつあります。
関節リウマチにおける血液検査で、しばしばリウマトイド因子(リウマチ因子)の上昇を認めるタイプと、上昇しないタイプのリウマチがあります。専門科の中では、一般的な関節リウマチと区別して、血清反応陰性の関節リウマチと呼んでいます。
しかし、関節リウマチと血清反応陰性の関節リウマチは、異なる病気ではありません。血清反応陰性のリウマチの方が診断しにくいというだけで、治療方針は関節リウマチと同じです。しかし、一般のクリニックでは、診断や治療方針に自信が持てないため、基幹病院に紹介されて来られる方も多いです。
もう一つ、通常のタイプと異なる関節リウマチとして、ご高齢で発症されるリウマチの方は、若年発症のパターンとは異なることがあります。同じ関節リウマチではありますが、ご高齢の方では、少し毛色が違う形で発症する場合が多く、診断が難しい側面があります。
現在は、関節リウマチという疾患に対しては、ガイドラインがしっかりと作られております。
標準的な関節リウマチの患者さんによく用いる薬剤は、メトトレキサートという薬のグループで、MTXと略して言うことが多い薬剤です。
メトトレキサート(MTX)は、ご高齢の方や、近々子作りを予定している方(男女ともに)への使用を禁止されているため、そのような方には、違う薬剤を用いて治療を開始します。
そのような特定の場合を除き、関節リウマチ患者の9割の方に、まず使っていただく形になるのが、MTXという薬剤です。
関節リウマチの治療目的である『寛解』とは、
l 臨床的寛解:関節の痛みや腫れがなくなり、検査異常もない
l 構造的寛解:関節破壊の進行が無い
l 機能的寛解:身体機能の障害が進行しない
という状態を意味します。
私たち治療者側の目標としては、患者さんの関節の破壊を食い止め、なおかつ痛みを取り除くことが挙げられます。最終的な目標は、リウマチ患者さんに、リウマチになる前の生活を取り戻していただくことです。
MTXのみの治療で効果が無い場合、他の内服薬としての抗リウマチ薬を併用する方法があります。また、ここ十年くらいで急速に進んできた治療法で、生物学的製剤という注射を用いる治療法もあります。
効果が強い薬剤というのは、リスクもある薬剤ということです。
患者さんによっては、持病や年齢などの因子によって、当初の目標である、『生活を取り戻す』ということが、100%は求められない場合もあります。
強い薬剤を使用できない場合は、1つ効力を下げた薬剤などを用いて、治療の目標を組んでいく形になります。