骨粗鬆症とは、骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。
通常、健康な骨では強度と密度がバランスよく保たれています。
しかし、骨粗鬆症の骨は大根にすが入ったようにスカスカの状態で、非常にもろくなって潰れやすくなってしまいます。
そのため、重いものを持ったり尻もちをついたりといった、軽い衝撃が加わるだけで骨折してしまうのです。
骨密度は、年齢に伴って上下しながら推移していきます。
成長期にカルシウムを貯めていき、20代前半で人生における最大の骨量になります。
以降は男女ともに緩やかに低下していきますが、女性では特に閉経という時期になると、女性ホルモンが出なくなるために大きく骨量が低下してしまうことがあります。
80歳を超えると骨密度はさらに低くなり、骨折閾値を下回ると骨粗鬆症を発症していることになります。
女性で閉経後の骨量減少が大きい方や、元々子どもの時から貯めている最大骨量が低い方の場合、60代など早い時期に骨粗鬆症になってしまう場合もあります。
骨粗鬆症はSilent Disease=沈黙の疾患と言われており、症状がわかりづらく無意識のうちに進行していきますが、身長が3㎝以上縮んだ、背中・腰が曲がった、腰が痛い、よく躓くといった症状がある場合には、骨粗鬆症を発症している可能性が高くなります。
現在、女性に注目すると60歳代の5人に1人、70歳代では10人に3人、80歳代を超えると2人に1人以上の割合で骨粗鬆症を罹患しているといわれており、全国で見ると約1590万人の方が骨粗鬆症であることが推計されています。
健康寿命とは、健康上の問題がなく、介護に至っていない、活き活きとした状態で日常生活を送れる期間のことを指します。
健康寿命と平均寿命を比較したグラフでは、男性の場合8年ほど、女性の場合10年以上、健康でない年数があるということになります。
現在介護が必要となっている主な原因は、占める割合順に認知症・脳卒中、高齢による衰弱と続き、その次に骨折・転倒が挙げられます。
つまり骨粗鬆症による骨折は、健康寿命を引き下げる大きな要因の1つなのです。
骨粗鬆症による骨折は、ロコモティブシンドロームとも深く関わっています。
骨・関節・筋肉・神経といった、身体を移動させるための器官のことを運動器と呼びますが、これが障害されて移動能力の低下を来す状態のことを、運動器症候群=ロコモティブシンドローム、略してロコモと言います。
運動器の病気やそれによる運動機能の低下が生じると、立つ・座る・歩く・階段昇降といった動作が通常通りに行えなくなってしまうのです。
運動器同士の働きは互いに影響を及ぼし合っています。関節が悪い方は神経も悪くなってくる、筋肉が衰えると骨も衰えるという現象はイメージがつきやすいでしょう。
ロコモティブシンドロームは介護に至る前の状態とも言われています。
介護に至らないよう予防するためには、骨粗鬆症による骨折で寝たきりに至る前に、ロコモティブシンドロームの状態で見つけて対策を行っていくことが重要です。
片足立ちで靴下が履けない
家の中で躓いたり滑ったりする
階段を上がるのに手すりが必要である
家のやや重い仕事が困難である
2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
15分続けて歩くことができない
横断歩道を青信号で渡り切れない
こういった状態が1つでも当てはまる場合には、ロコモを来している可能性が高いため、注意が必要です。