関節リウマチ診療の地域医療連携について

地域医療連携
患者さんが、居住地域で継続的に、適切な医療を受けられるようにするには、その地域の医療機関全体における連携が大切です。今回は、関西医科大学附属病院リウマチ・膠原病内科准教授の尾崎吉郎先生に、関節リウマチ診療における地域医療連携への取り組みや、その発展についてうかがいました。

 

地域医療連携の始まり

 

 

その地域の医療の拠点となる基幹病院は、単に患者さんを診療するというだけではなく、地域の医療機関のリーダーとして、地域ぐるみでネットワークを作っていくべきだと思います。

 

この地域(北河内)でリウマチ診療を行っている民間のクリニックには、本当に専門性の高い先生が、数多くいらっしゃいます。その先生方と話をしていく中で、自然発生的に、地域の医療機関全体としてのネットワークを作ろうという話になりました。

 

 

北河内リウマチネットワーク

 

 

地域医療連携への取り組み開始後、2~3年かけて、約50施設の先生方に、このネットワークに加入して頂き、その先生方が中心となって、リウマチ診療を各地域で啓発していくというような活動を行っています。

 

 

地域医療連携の発展のために行っている活動

 

 

地域医療連携を充実させるためには、医師のみの取り組みでは不十分です。看護師や薬剤師、理学療法士や装具士の方など、そういった方々も巻き込んで、医療関係者全員で取り組んでいかなければなりません。

医師だけで行われている研究が多いですが、コ・メディカル(医師以外の医療関係者)の方を対象にした勉強会も、別枠で行っております。

 

 

医師・コメディカルを対象とした勉強会一覧

 

 

 

医師以外の医療関係者の取り組みと同時に、患者さんに向けた啓発も大切です患者さん自身も、自分が受けている治療が、自分にとってベストかどうかということを考える必要があります。患者さんごとに、適切な治療の内容は当然異なります。

 

 

今の世の中は、医師が治療方針を決めて、患者さんにそれを押し付けるような時代ではありません。医師と患者さんが二人三脚で相談しながら、治療方針を決定していくことが、基本的にどの分野でも一般的となっております。そのためには、患者さん自身も勉強する場所が必要です。

 

 

可能であれば、もっと多く開催したいのですが、最低限1年に1回の頻度で、市民公開講座を、クリニックの先生方と一緒に開催しております。その公開講座で、患者さんを始めとした一般の方にも、リウマチの薬や手術の方法などについて勉強していただいております。

 

 

私たちのネットワークでは、一人一人の先生方が、かなり専門性の高い知識と技術を有した先生方なので、お互いに情報交換し、ディスカッションを行う場を欲しています。そのため、半年に一度程度の頻度で、患者さんのデータを持ち寄り、ディスカッションを行う場を設けております。その場を設けることで、少し診断や治療の難しい患者さんの病態や合併症を、地域の医療関係者全体で共有できます。医療関係者のスキルアップの場にもなっていると思います。

 

 

患者さんへのメッセージ

 

 

関節リウマチの標準治療は、MTX(メトトレキサート製剤)になります。

患者さんからよく誤解を受けるのは、標準治療より良い治療があるのではないかという点です。標準治療とはベーシックな治療であり、さらに上の治療が存在するのではないか、他の病院へ行けばいい治療が受けられるのではないかと思い、他の病院へ行かれる方が、時々いらっしゃいます。

 

しかし、そうではありません。日本の保険制度で受けられる医療というのは、裕福な人もそうでない人も、きちんと受診できるよう、国が運用している制度です。

 

標準治療が、実はその疾患におけるベストな治療なのです。

標準治療という言葉の意味を、時々取り違えている方がいらっしゃいます。

標準治療を行っているがなかなか良くならないということで、標準治療を辞めて、聞いたことも無い治療に走ってしまう患者さんは、治療を受けられない空白の期間に、関節が壊れてしまうこともあります。疾患や治療に対して疑問に思ったときは、主治医の先生と相談していただきたい思います。

 

 

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