舌がん(口腔がん)の概要

口腔外科
舌がん(口腔がん)の概要

 

口腔がんの構造

 

 

口腔とは、口の中のことです。

口腔は、舌、歯肉(歯ぐき)、頬粘膜(頬の内側)、口腔底(舌の裏側のつけ根からU字に広がる底部分)、口蓋(口腔の天井部分)などに分かれています。

 

 

口腔がんの種類

 

 

口の中にできるがん、つまり口腔がんは、できる場所によって、舌がん、下顎歯肉がん、上顎歯肉がん、口腔底がん(口底がん)、頬粘膜がん、硬口蓋がんなどに分かれます。

なかでも最も多いのが舌がんで、口腔がんの5~6割を占めていると言われます。

 

なお、口腔がんはがん全体の1~2%と、比較的稀ですが、口腔がんの罹患数(新たにがんと診断される数)は、1975年には全国で2,100人だったのが、2005年には6,900人に増えており、その後も増加傾向にあります。

 

 

口腔がんの症状

 

 

舌がんをはじめ、口腔がんでは、初期症状として次のようなことが現れます。

 

 ・粘膜が赤くただれる

 ・粘膜が白っぽくなっている

 ・しこりや腫れがある

 ・口の中にできた傷がなかなか治らない

 ・歯周病がないのに口から出血が続く

 

さらに進行すると、痛みやしびれが出たり、食べ物や飲み物がしみたり、食事や会話時に違和感があったり、首のリンパ節が腫れたりすることがあります。

 

 

舌がんイメージ図

 

 

なお、舌がんの場合、舌の先端や真ん中にできることは稀で、できやすいのは舌の両側の縁の部分です。粘膜の表面がデコボコと腫れていたり、潰瘍ができて凹んでいたり、しこりがふれたりしたら、注意が必要です。

口内炎でも似たような症状が見られることはありますが、2週間以上経っても治らないときには舌がん(口腔がん)も疑われます。

 

 

口腔がんの治療

 

 

口腔がんの治療法は、がんができた場所や広がり具合いによって異なり、手術、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療)の組み合わせ、またはいずれかで行われますが、多くの口腔がんで中心となるのは、手術です。

 

 

舌がんの場合、手術でがんを切除することが中心となります。

がん全体とそのまわりを切除するとともに、必要に応じて、頸部(首)のリンパ節をまわりの組織とともに切除する「頸部郭清術」、手術で取り除いた部分を体の他の組織や人工材料を用いて修復する「再建術」を行います。

 

また、全身状態との兼ね合いで手術を受けられない、あるいは手術を希望しない患者さんの場合、放射線療法が選択肢にあがることもあります。舌がんに対する放射線療法は、がんができている部分に直接針を刺して放射線線源を送り込む「小線源治療法」が主です。ただし、手術に比べて、早期の患者さんが対象となります。

 

さらに、舌がんも含め口腔がんでは、治療によって食べ物を噛むこと(咀嚼)、飲み込むこと(嚥下)、言葉を発すること(発音)などに障害が生じることがあります。そのため、治療後のリハビリテーションも大切です。

 

 

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