舌がんの発症原因としてまず挙げられるのが、タバコやお酒の習慣です。また、入れ歯等が舌に当たるなどして慢性的に刺激が加えられている場所にも起きやすいと言われています。
舌がんの形状のタイプには表在型、外向型、内向型の3つがあります。
表在型は口内炎のように表面にポツリとできるタイプの舌がんです。
外向型は舌から外側に大きく盛り上がるタイプで、この場合、喋りづらくなったり食事がしづらくなったりするため、早期に発見されることが多いと言われています。
また、内向型は舌の中心に向かって広がるタイプの舌がんです。
表在型や外向型のように、食事や会話の邪魔になることは少ないため、発見が遅くなりやすい舌がんと言えます。
内向型の舌がんの場合、痛みが出てから来院することが多いようですが、痛みが生じるとかなり進行している状態であり、早期発見は非常に難しいと言えます。
口内炎が長期化する場合などは、舌がんの可能性も考慮して、一度病院を訪ねるといいかもしれません。
舌がんの検査でまず行うのは、生検です。がんの病巣部から組織片を採取して、顕微鏡で観察し、病理学的にがんの進行度合いを診断します。
また、がんがどの程度広がっているのかを見るためには、MRIで検査を行います。
さらに遠隔転移が疑われる場合には、PET(Positron Emission Tomography; 陽電子放射断層撮影)を用いた検査を行います。
舌がんは、その進行の程度によって4つに分類され、その指標はがんの大きさと病巣の深さで測ります。
がんの大きさが2cm以下で、病巣の深さが5mm以下の場合をT1と呼び、これは早期がんと診断されます。
がんの大きさが大きさ2cm以下でも、病巣の深さが5~10mmの場合、またはがんの大きさが2~4cmで、病巣の深さが深さ10mm以下の場合はT2と呼びます。
これも比較的早期のがんと言えます。
がんの大きさが4cm以上で、病巣の深さが10mm以上の場合はT3、さらに周りの臓器に転移を起こしている場合はT4と分類されます。
舌がんの治療は、基本的には外科的に切除するか、放射線療法が行われます。
首のリンパ節に転移した場合などは、手術が第1選択肢となります。
放射線治療が根治の治療方針となることはありますが、手術による切除と比べると、効果は半分以下となります。そのため、転移などを考慮すると、手術が第1選択肢となることが多いようです。
一口に放射線治療といっても、その方法は様々で、小線源治療や外部照射、陽子線治療などが行われています。
小線源治療とは、がんの病巣部に放射線を発する小さな線源と呼ばれるものを埋め込むことでがん細胞を死滅させる、という治療方法です。
外部照射では、放射線を病巣部の外から当てます。口腔全体に放射線を当てることになるため、治療後に口内炎等を引き起こすことがあり、QOLを低下させるというデメリットがあります。
このようなデメリットをカバーするために、陽子線など用いて照射範囲をできるだけ小さくし、そこに抗がん剤を添加することで治療効果をあげて、かつ他の部分への影響を最小限にするという試みも行われています。