頭頸部がんとは、耳・鼻・のど・口にできるがんの総称です。
頭頸部がん自体の罹患数は非常に少なく、男性の方が女性に比べて約2倍の発症率です。
これは人口10万人あたり40人程度の罹患率となります。
咽頭がんの中でもいくつかの種類に分けられます。
最近は中咽頭がんと下咽頭がんの罹患数がやや増加しており、一方、従来多かった喉頭がんが減少傾向にあります。
ウイルスによって発症する中咽頭がんが、日本だけでなく海外でも増加している点が注目されています。
日本人はアルコールに強くない体質の人が多く、そのような体質の人の下咽頭がん罹患率も微増しています。
日本人のおよそ40%は、少量のアルコール摂取で顔が赤くなります。
そのような人は、元来お酒に強くない体質であるため、飲酒を続けることで、下咽頭がん・食道がん・胃がんなどの発がんリスクが高くなることが示唆されています。
飲酒や喫煙による中咽頭がんの罹患数は減少傾向にありますが、その一方でヒト乳頭腫ウイルスによる中咽頭がんは増加傾向にあります。
ヒト乳頭腫ウイルスは性行為によって伝播することがわかっており、リスク因子の1つとして挙げられます。
つまり、飲酒・喫煙・性行為が頭頸部がんのリスク因子として挙げられます。
中咽頭がんの場合は、喉の違和感などの自覚症状で受診される人が多いです。
下咽頭は、中咽頭より深い部分であり喉仏の裏側に位置しています。
そのため、下咽頭がんの場合は、飲み込んだときの違和感や痛み、進行した人では声のかすれなどの自覚症状で受診する人が多いようです。
原発巣(がんが最初にできた場所)の症状が無い状態でも、首のリンパ腺が腫れて、首周りが腫れてきたことで受診する人がいます。
これは頸部リンパ節転移の症状です。
ここで調べてみて喉にがんを発見するパターンもあります。
基本的に頭頸部がんは耳鼻科領域の疾患であるため、頭頸部がんの診断には、首の触診や頚部の超音波検査などを行います。
耳鼻科の場合は、鼻から入れる内視鏡を使って喉の奥を検査します。
原発巣が疑わしい場所があれば、生検を行います。
これは、腫瘍の一部を採取して病理検査(顕微鏡で腫瘍細胞を確認する)する検査方法です。
また、明らかな腫瘍性の病変が確認できれば、頸部の造影CT検査・造影MRI検査が行われます。
明らかに下咽頭がんであれば、食道がんなどが同時性に重複していることが多いため、必ず上部内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)を行います。