悪性リンパ腫と診断される患者さんは1年間におよそ3万人と言われています。
その内の25~30%程度がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と言われています。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、リンパ節が腫れたり、臓器にコブのようなものやそれ以外の病変を形成するリンパ腫です。
リンパ節は首や腋の下、胸部や腹部など様々な場所にあるため、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は色々な場所に病変ができる可能性があります。
病変が大きくなる速さは、治療しなければ週~月の単位で大きくなります。
比較的早い経過で進行する疾患です。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の診断のためには、まず「生検」と呼ばれる検査が必要です。生検では、病変組織を一部採取して顕微鏡でその状態などを調べます。
また、病変がどのように広がっているかなどを調べるために、PET-CTや骨髄検査、上部消化管内視鏡(胃カメラ)などを行います。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の病期(ステージ)は「Ann arbor分類」と呼ばれる分類法によって分けられます。
例えば、右の首に数個のリンパ腫脹が限局している場合はステージⅠ、首と脇の下に病変が見られる場合はステージⅡ、横隔膜を挟んで胸部と腹部の両方に病変が見られる場合はステージⅢ、さらに骨髄や肝臓などのリンパ外臓器に広い範囲で病変がある場合はステージⅣと分けられます。
また、ステージⅠ・Ⅱを限局期、ステージⅢ・Ⅳを進行期と言います。
悪性リンパ腫は手術で治療することが一般的ではなく、通常は薬物療法や放射線治療の対象です。
ステージⅢ・Ⅳでも末期というわけではありません。
びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対する初回治療として、「R-CHOP療法」という化学療法が標準治療で用いられます。
R-CHOP療法では5種類の薬剤を使います。
R-CHOPの「R」は「リツキシマブ」と呼ばれる薬剤の頭文字で、抗CD20抗体の点滴薬であり、CD20とは細胞膜の表面に発現しているタンパク質に対する抗体のことです。
また、「CHOP」の頭文字はそれぞれ、C=シクロホスファミド、H=ドキソルビシン、O=ビンクリスチン、P=プレドニゾロンの4つの薬剤を表しており、Pはステロイド剤の飲み薬が一般的、それ以外は注射や点滴で投与します。
このような薬剤の投与を3週に1回行います。2回目以降の投薬は外来通院で可能です。
進行期の場合にはR-CHOP療法を6~8サイクル繰り返しますが、限局期のケースに対しては、放射線治療で当てきれる範囲に病変が限られている場合には、R-CHOP療法を3サイクルと放射線治療の併用治療が行われます。
順序としては、R-CHOP療法をまず行い、その後に放射線治療を行います。