びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療法とは?副作用や完治率について知りたい!

化学療法
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、悪性リンパ腫の1つであり、リンパ球の中のB細胞から発生するリンパ腫です。全身の臓器に発生する可能性があるため、病変ができる部位によってその症状は異なりますが、基本的な治療法は化学療法と分子標的薬を併用する方法や、放射線治療の組み合わせです。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の詳しい治療方法や、副作用を抑えるための工夫、初回治療での完治率などについて、国立がん研究センター中央病院・血液腫瘍科の伊豆津 宏二先生に教えていただきました。

 

R-CHOP療法における副作用

 

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の標準的な治療法である「R-CHOP療法」は5つの薬剤、R=リツキシマブ、C=シクロホスファミド、H=ドキソルビシン、O=ビンクリスチン、P=プレドニゾロンを用いる薬物治療です。

 

この治療の副作用には、ビンクリスチンによる末梢神経障害として指先の痺れや便秘などがあり、さらにドキソルビシンによる脱毛も挙げられます。

 

また、治療薬の全体的な作用として、骨髄抑制というものがあります。

これによって血液の成分が治療と治療の間、一時的に低下するということが繰り返されます。骨髄抑制は血液検査をしなければ表面上は分からない副作用であり、患者さんの症状には現れないのが一般的です。

 

ただし、骨髄抑制によって血球成分のうち「好中球」が減少すると、感染症を起こしやすくなってしまいます。

特に細菌感染症が起こりやすく、これが引き金となって発熱や肺炎などの重篤な感染症を引き起こすことがあります。

 

さらに、リツキシマブは抗CD20抗体の副作用として、初回の投与時に「輸注関連反応」と呼ばれる反応が起こることがあります。

具体的には高熱寒気震えといった症状が現れます。

この症状については1回目の投与時にきちんと対処をすることで、2回目以降の投与時に同じような副作用を防ぐことが出来ることが知られています。

 

 

骨髄抑制に対する治療の工夫:高齢者・ハイリスク患者

 

 

骨髄抑制(好中球減少)とその対策

 

 

R-CHOP療法中の患者さんに対しては、骨髄抑制の期間中、好中球減少による発熱などを起こした場合には、抗生剤・抗菌薬を服用することを推奨しています。

 

また、骨髄抑制をなるべく軽減させるために、「持続型G-CSF」という薬剤を利用することがあります。

この薬剤をR-CHOP療法などを行う日とは別の日に投与することで、白血球を増やすことが出来るため、骨髄抑制中の発熱や重度の感染症のリスクが下がります。

持続型G-CSFは主に、高齢の患者様々な合併症を持つハイリスクな患者に対して行います。

 

 

初回治療における完治率は?

 

 

治療効果判定:治療終了後のCT、PET/CT

 

 

R-CHOP療法が一通り終わった後、CTやPET-CTを用いた治療効果判定を行います。

この時、病変が無くなっている場合「完全奏効・完全寛解(CR)」と言います。

一度CRが得られたケースでは、再発率は1~2割程度と言われており、治療から離れて元の生活へ戻れるような働きかけが重要となります。

 

概ね60%以上の患者さんが初回治療で完治すると言われていますが、20~30%のケースでは初回治療が奏効せず、病変が全く小さくならなかったり、むしろ大きくなってしまったりする場合が見られます。

また、治療によってCRに至った患者さんであっても、再発するケースはあります。

したがって、初回治療を行なったケースの40%は完治せず、サルベージ治療(二次治療)に移っていきます。

 

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