びまん性大細胞型B細胞リンパ腫が再発したらどうする?二次治療とその先の治療

化学療法
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、悪性リンパ腫の1つであり、リンパ球の中のB細胞から発生するリンパ腫です。基本的な治療法は化学療法と分子標的薬を併用する方法や、放射線治療の組み合わせですが、初回治療が奏効しないケースも少なくありません。そのような場合、どういった治療法が選ばれるのでしょうか。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫が再発した場合の二次治療の方法や、完治率、さらに近年注目される新しい治療法などについて、国立がん研究センター中央病院・血液腫瘍科の伊豆津 宏二先生に教えていただきました。

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の二次治療:初回とは異なる治療法で奏効を目指す

 

 

サルベージ科学療法(二次治療)

 

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療において、初回治療が奏効しなかった場合は二次治療に移行することになります。

ここでは、初回治療として標準的なR-CHOP療法(分子標的薬と化学療法の組み合わせ)ではない、違う種類の治療が推奨されます。

 

R-CHOP療法では、ドキソルビシンと呼ばれる薬剤が含まれており、これは心臓に対して毒性を持ちます。

このため、R-CHOP療法を二度目に行うことは出来ません。この代わりとして、R-ESHAP療法R-ICE療法R-DeVIC療法R-GDP療法などが行われます。

 

いずれも数日に渡って点滴治療を必要とします。

これらの治療法は「骨髄抑制」と呼ばれる副作用が、R-CHOP療法よりも強く出るため、高齢者や合併症ハイリスクの患者以外の若い患者であっても、入院して治療するのが一般的です。

また、高齢者ではリスクが高いため、十分な治療を行えないこともあります。

 

 

二次治療における完治率は?

 

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫再発後の治療

 

 

二次治療(サルベージ治療)の対象となり完治が目指せるケースとは、サルベージ治療の効果が現れた後に「自家移植併用大量化学療法」が実行できた場合です。

 

年齢的には65~70歳以下の比較的若い患者でかつ、腎臓や心臓などに重い臓器傷害が無いケースが対象となります。

ここで言う「自家移植」とは、造血幹細胞を多く含む細胞を移植する方法で、あらかじめ保存しておいた自分の造血幹細胞を移植します。

 

これによって、がんを根絶するレベルの強力な化学療法や放射線療法の後に、正常な血液を作ったり免疫を維持したりする機能を回復させることが出来ます。

 

このような完治を目指せる患者のうち、サルベージ療法によって腫瘍が小さくなることが期待できるのは、およそ50%程度と言われています。

これらの患者は自家移植の対象となります。

自家移植を受けた患者のうち50%は治癒が期待できると言われていますが、再発を来したびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の患者で、サルベージ療法で治癒が期待できるのはおよそ10%程度に限られます。

 

その他のケースでは、現在知られている化学療法を薬剤の種類を変えて行なったり、症状緩和を中心とする治療に移行することが多いと言います。

 

 

CAR-T細胞療法とは:再発難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療に光明が

 

 

初回治療が奏効せず二次治療に移行し、それでも治癒が期待できないと言う場合にはどのような治療法が残されているのでしょうか。

このような場合、現在はまだ未承認で、治験・臨床試験に相当する段階の治療が選択されることがあります。

 

 

CAR-T細胞療法のイメージ図

 

 

CAR-T細胞療法はそのうちの1つです。

CD19というB細胞の抗原を標的としたCAR-T細胞療法のうち、1種類は2019年3月現在、承認が間近に迫っていると言います。

この治療法は、再発難治のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の患者に対する治療選択肢になる可能性が高い方法として、大きな期待が寄せられています。

 

 

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫は造血器腫瘍(血液がん)の中でも、最も多い疾患です。

血液内科の専門医が在籍している病院で診療を受けることが推奨されます。

まずは初回治療として標準治療を受けて、それでも再発してしまった場合や初回治療が奏効しなかった場合には、年齢的に可能であれば造血幹細胞移植などの選択肢があります。

 

セカンドオピニオンを含めて、新しい治療や強力な治療を行うことが可能な医療機関に相談してみて下さい。

 

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