悪性リンパ腫は、症状のない状態で見つかる方のほうが多く、何らかの理由でCTを撮影したり、内視鏡検査を受けたりしたときに発見されることが多いです。
ただし、悪性リンパ腫に特有の症状があります。
・感染症などではなく、原因のはっきりしない38度以上の熱が1、2週間続く
・暑くもないのにベッドシーツを替えなければいけないほど汗が出る
・体重が半年で1割ほど減る
この「発熱」「盗汗(寝汗)」「体重減少」の3つを「B症状」と言います。
悪性リンパ腫は、「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」の大きく2つに大別されますが、がん細胞の性質や形から、さらに細かくタイプが分かれています。
医学の進歩とともに診断が細分化され、最新の2016年改訂の「WHO分類」では90種類に分類されています。
がんが腫瘤(しこり)を形成しているときには、組織の一部を採って顕微鏡で調べる組織生検を行い、どのタイプの悪性リンパ腫なのかを調べます。
がんの治療法を考える際は、タイプのほか、進行度をあらわす「ステージ(病期)」が重要です。
悪性リンパ腫も、がんの広がりによってⅠ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期の4段階に分けられます。
また、悪性リンパ腫のなかでも日本人に多い非ホジキンリンパ腫は、病気の進行の速さによって「高悪性度」「中悪性度」「低悪性度」の3段階の悪性度に分けられています。
日・週単位で急速に進行するのが高悪性度、数か月で進行するのが中悪性度、年単位でゆるやかに進むのが低悪性度です。
一般的に、低悪性度の悪性リンパ腫は、進行はゆるやかですが抗がん剤で治癒を得ることが難しく、逆に高悪性度のものは、進行は早いものの抗がん剤が効きやすい傾向があります。
「悪性リンパ腫」と聞くと驚かれるかもしれませんが、悪性リンパ腫は血液のがんのなかでも非常に治癒率が高いがんです。
その背景には、殺細胞性の抗がん剤(細胞増殖のさかんな細胞を攻撃するタイプの抗がん剤)に対する感受性の高さがあります。
つまり、殺細胞性の抗がん剤が効きやすいということ。
この性質に抗体薬などの分子標的治療薬が加わり、さらに治療成績が向上しています。
ただし、殺細胞性の抗がん剤は、血液へのダメージが強く、血液を構成する白血球、赤血球、血小板を減らし、感染症や、貧血からの心不全を引き起こしたり、出血しやすくしたりします。
なかでも悪性リンパ腫においては、「ニューモシスチス肺炎」といった合併症が起こりやすいのですが、「スルファメトキサゾール, トリメトプリム」(製品名:バクタ)という薬剤を飲むことでほとんどは予防することが可能です。
また、殺細胞性の抗がん剤は副作用の吐き気が強いことが知られていますが、現在では、吐き気を抑える良い薬も出ています。
このように、合併症や副作用の予防も含めて、悪性リンパ腫の治療は進化しています