末梢動脈疾患、重症下肢虚血は、なるべく早期に発見して早期に治療することが大切です。
また、できるだけダメージの少ない治療(低侵襲な治療)を行うため、最近では外科手術よりも「カテーテル治療」のほうが世界的に増えています。
カテーテル治療とは、細い管を血管に挿入し、狭くなっている部分を広げる治療のこと。現在では8割以上が、カテーテル治療で行われています。
残りの10~20%程度が、「バイパス手術」です。これは、狭くなっている血管にう回路をつくる手術です。
カテーテル治療のほうがより体にやさしく、いまでは、ほとんどがカテーテル治療で治せるようになってきています。
ただし、カテーテル治療の難点は、再治療が必要になる方が一定数いることです。
初期成績はほぼ100%になってきましたが、「長持ちするか」というと、2~3割程度、再治療が必要になる方がいます。
外科手術(バイパス手術)の場合は、ほぼ1度の手術で長持ちできるため、カテーテル治療のほうが体へのダメージは少ないものの、再治療率はやや高い傾向があるのです。
ただし、カテーテル治療に使う器具も技術も進化しています。
たとえば、血管を広げたまま維持するために血管に留置する「ステント」は、薬が塗ってあるもの、人工血管がついているものなど、新しいものが登場しています。
また、血管を広げるために膨らませるバルーンも、再狭窄を予防するための薬が塗ってあるものも出てきました。
こうした治療器具や技術の進化に伴い、治療成績が良くなっていることは間違いありません。
ここまで、「早期発見して早期治療し、流れていないところを流してあげる」という話をしてきました。
カテーテル治療もバイパス手術も、血流が悪化している部分を「広げる」か「う回路をつくる」ことで「流す」という治療です。
ただし、それだけでは十分ではありません。
足を使って運動してもらうことが欠かせないのです。
「血流は治したけれど歩かない」のでは、何のために治療したのかわかりません。
しっかりリハビリテーションも行い、「歩ける足」にまでもっていくことが治療のゴールです。