肺高血圧症とは、肺の血管(肺動脈)の血圧が高い状態を指します。
全身の血管は、血圧計で簡単に測ることができますが、肺動脈の血圧はそう簡単には測ることができないため、発見が遅れることが多くあります。
肺高血圧症の患者さんの多くで見られる症状としては、息切れが挙げられます。
「息切れ」という症状も、初めは運動量が多い時に限定して出現しますが、症状が進行していくに従って、少ない運動量でも息切れが起こるようになってきます。
例えば、最初は山登りといった激しい運動の時にしか現れなかった息切れが、自宅で少し動くだけでも現れる、といった感じです。
このように、肺高血圧症の息切れ症状は悪化していく傾向にあります。
肺高血圧症は「どこが傷害されるのか」によって分類されます。
①肺動脈のうち、非常に細い(0.1mm以下)の血管が広範に損傷を受けることによる「肺動脈性」
②左心と右心を繋ぐ肺動脈が傷害されることによる「左心性」
③肺気腫や間質性肺炎など肺に起こる疾患が原因となるもの、
④血栓塞栓(血の塊)が肺動脈の比較的太い部分に詰まることによる「肺血栓塞栓性」
➄その他
の5つに分けられます。
肺高血圧症は罹患しやすい体質が重要となっています。
体質以外の環境因子が加わったときに発症すると言われていますが、原因不明なケースも多くあります。
肺高血圧症の原因はいくつかありますが、どの原因も 3:1 や 4:1 の比率で、女性の罹患率が高いと言われています。
原因にもよりますが、発症しやすいのは比較的若年者です。
30~40歳の女性で、多くが肺動脈性となっています。
また、血栓塞栓性では少し年齢が高くなるほど増えるようです。
専門でない医師が行なった検査でも分かる場合はありますが、そこで判明しない場合はより大きい病院に紹介されて、心エコー検査を行なった上で診断がつくことが多いようです。
肺高血圧症という疾患に慣れている医師や看護師は少ないため、疑いのある時は、肺高血圧症を専門とする医師のいる病院を紹介してもらったりするのが良いでしょう。
肺高血圧症の確定診断を行なって治療方針を決めるためには、カテーテル検査が必要となりますので、診察の早い段階から専門の医師にかかる方が、検査から治療までがスムーズにいきます。